泰阜村の窓口業務、郵便局でも受け付け 多様な受託は全国初(信濃毎日新聞2019年6月12日) 

 郵便局の窓口で年金や国民健康保険介護保険などの届け出書類も受け付けます―。下伊那郡泰阜村は8月にも、村役場で担っている26の窓口業務を村内の温田(ぬくた)郵便局に委託する。日本郵便(東京)によると、住民票の写しや印鑑登録証明書の交付を受託する郵便局は数多くあるが、これだけ多様な業務の委託を受けるのは全国で初めて。
 郵便局では住民票の写しや証明書の交付サービスなど5業務を行うことが法律で認められている。日本郵便によると、5月末時点で全国578の郵便局が162自治体から業務委託を受けている。一方、これら5業務以外は委託が可能かどうか、担当省庁などと個別に調整する必要がある。
 村は2年ほど前から、人口(約1600人)の半分をカバーする村役場南支所の業務を、近くの温田郵便局に委託することを検討。日本郵便や省庁側と協議を重ねてきた。横前明村長は「住民サービスのワンストップ化などの利点がある」としている。
 婚姻の届け出や母子健康手帳の交付、飼い犬の登録、使用済みの小型家電の回収といった業務も委託する。村は開会中の村議会定例会に、業務委託に必要な条例案を追加提出する。 

本記事では,泰阜村における窓口業務の取組を紹介.

同村の支所では「泰阜村組織規則」第5条に基づき,「住民登録に関すること」,「印鑑登録及び証明に関すること」,「諸申請書,届書の受付及び諸証明の交付に関すること」,「埋火葬許可に関すること」,「村税及び諸手数料等の収納に関すること」,「軽易な諸支払いに関すること」,「軽易な事務連絡に関すること」,「転出入及び配給に関すること」,「その他特に命じられたこと」*1が分掌されている.

本記事によると,同「支所の業務を」「近くの温田郵便局に委託することを検討」した結果,「多様な業務の委託」を同局に実施する方針を検討されている模様.窓口業務の「政策実施の見直し」*2に伴う利用状況は,要観察.

*1:泰阜村HP(泰阜村例規集)「泰阜村組織規則

*2:曽我謙悟『日本の地方政府 1700自治体の実態と課題』(中央公論新社,2019年)92頁

日本の地方政府-1700自治体の実態と課題 (中公新書 2537)

日本の地方政府-1700自治体の実態と課題 (中公新書 2537)

 

高層タワマン、都心部に建設ダメ 神戸市が規制へ(神戸新聞2019年6月11日) 

 神戸市は、三宮の中心部での住宅建設を禁止した上、その周辺の新神戸や元町、JR神戸駅近辺でも高層のタワーマンション建設を規制する方針を固めた。久元喜造市長は「神戸を大阪のベッドタウンにはしたくない。(市内外から人を呼び込み)ショッピングやグルメ、アートシーンを楽しめるまちにしたい」としており、「都心部の住宅地化」に歯止めをかける狙い。関連の条例改正案を6月市議会に提出し、来年7月の施行を目指す。  

 市によると、こうした都心での住宅規制は横浜市に次ぎ2例目。同市ではタワーマンションの増加により居住者が増えた一方、オフィスや商業施設で働く人が減ったため、2006年に規制条例を施行した。  

 主にJR三ノ宮駅や阪急神戸三宮駅阪神神戸三宮駅の南側約350メートル以内をめどに「都心機能高度集積地区」を設け、住宅の建設を禁止する方針。対象エリアの面積は約22・6ヘクタール。  市によると、利便性の高い駅近くのタワーマンションは需要が大きいため、業者側の開発意欲も旺盛で、神戸市の人口を抜いた川崎市でも人口増の原動力となった。神戸市でも市中心部の中央区に、市内全域分の3分の1に当たるタワーマンションがある。05年以降だけで18棟(計4487戸分)が分譲された。  

 神戸市は今後本格化させる三宮再開発で、商業・オフィスなどの機能拡充を図りたい考えで、その“障害”となり得る住宅建設の禁止に踏み切る形だ。  

 一方、新神戸駅から神戸駅までの約292ヘクタールは「都心機能活性化地区」に指定。大型敷地(千平方メートル以上)に新たに建てられるビルについては、住宅部分の容積率を400%以内に限定する。  

 一帯の容積率は従来400~900%のため、オフィスや商業機能を持たない住居のみのタワーマンションが大幅に規制されることになる。久元市長は「居住機能と商業・オフィス機能を共存させたい」としている。  タワーマンションを巡っては、全国的にも、老朽化などによる安全面の不安や、災害時の対応の難しさなどが課題となっている。(長尾亮太) 。

本記事では,神戸市におけるタワーマンション規制の取組を紹介.

同市が設置した「タワーマンションのあり方に関する研究会」では,2018年「12月17日」に『神戸市におけるタワーマンションのあり方に関する課題と対応策』*1と題した報告書を同市長に提出.同報告書では,「持続可能性の確保」「良好なコミュニティの形成」「まちづくりとの調和」*2の3点から,具体的な個別対応策を提示.本記事では,上記3点のうち「まちづくりとの調和」の個別対応策の一つに提案された「集中立地の抑制」としての「立地等に関する新たなルールづくり」*3が具体化されることを紹介.同規制に伴うタワーマンション建築の「都市内の競争」*4の抑制状況は,要観察.

マイバッグ持参しよう 横浜市がイオンでキャンペーン(神奈川新聞2019年6月10日) 

 横浜市は6月、レジ袋の削減を呼び掛けるキャンペーンを、イオングループの市内全店で行う。世界で問題になっているプラスチックごみによる海洋汚染に関心を寄せてもらうため、会計時にマイバッグを持参するよう声を掛けるほか、店内に啓発ポスターを掲示する。
 2012年に市とイオン(千葉市)が結んだ包括連携協定に基づく取り組み。期間は1カ月で、グループのスーパー、ドラッグストア、コンビニなど計356店を対象に実施する。同社によると、レジ袋の有料化を総合スーパーのほぼ全ての店舗で取り入れている一方、コンビニやドラッグストアでは導入しておらず、グループ全体のレジ袋辞退率は約65%にとどまる。
 林文子市長は21日の会見で「市内全店で実施することで、より多くの市民にプラスチックごみの問題を伝えることができる」と期待感を示した。
 市は、大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合で海洋汚染対策が主要議題になるのに合わせ、6月を対策強化月間に指定した。キャンペーンはその一環。

本記事では,横浜市におけるブラスチック対策の取組を紹介.

同市では,2019年「6月1日」から「6月30日」までの間,「よこはまプラスチック対策強化月間」と位置付け,同「市内全域」の同社「356店舗」にて,「プラスチック対策」*1を実施.「ポスター,ポップの掲示」「レジ袋要否の声かけ」「レジ横サイネージでの呼びかけ」「“横浜限定”お持ち帰り専用かご「マイバスケット」」「消費者アンケート」「店頭啓発」*2等の実施予定としている.「公-民協定(縦型協定)」*3に基づく同取組.削減状況は,要観察.

<仙台市>来年度からAIで市税徴収強化 滞納者の属性分析し催告(河北新報2019年6月9日) 

 仙台市は市税の収入率アップを図るため、滞納者の属性を人工知能(AI)で分析し、効果的に催告する新たな徴収対策に来年度から乗り出す。滞納者への接触はベテラン職員の経験則が頼りだったが、最先端技術の活用で徴収効率を高める。市によると、徴収対策へのAI活用は政令市では初めてで、全国的にも例がないという。
 市税の納付期限が過ぎると、市は滞納者に督促状や催告書を順次送付する。それでも滞納が続く場合、催告書送付から約1カ月後、電話や文書で催告し、1、2カ月後をめどに差押執行予告書を送る。
 AIは催告書送付以降の徴収対策に活用される。複数年度にまたがる滞納がなく、未納が生じたばかりの新規滞納者を対象とする。
 2009年度以降の新規滞納者の職業、住所、滞納額、催告時期、納付実績などを記した「交渉記録」をAIに分析させ、傾向を把握。徴収対象者への催告は電話か文書かをはじめ、電話する時間帯や文書の送付順など効果的な手法を提案させる。
 これまでは滞納額の大きい順に電話催告したり、ベテラン職員の「会社員は日中に電話しても出ない」「外国人や自営業者は日中が効果的」といった経験則に頼ったりしていた。来年度からはAIの分析に基づき、滞納者それぞれの属性に合わせた催告に取り組む。
 市は17年11、12月の2カ月間、AI活用の実証実験を実施した。16年度の交渉記録を分析させた結果、催告書送付から3週間後に納付が増えると判明。文書催告までの間を1カ月から3週間に変更すると、納付率は約6%向上したという。
 AIが提案した曜日や時間帯に電話催告し、応答率が約9%上がる結果も出た。市の試算では、AI活用で年間4545万円の新規滞納額の減少効果がある。
 市によると、市税の17年現年度(17年4月~18年5月)収入率は99.3%。約13億円の新規滞納が生じ、収入率は全国20政令市の中で11位に甘んじる。
 市徴収対策課の桜井一幸課長は「AIの活用で、新任職員でも効果的な催告ができる。その分、ベテラン職員は長期滞納者の訪問など難しい対応に回り、全体として市税の滞納額を減らせればいい」と期待する。

本記事では,仙台市における市税滞納整理の取組を紹介.

同市では,「税収や納税義務者間の公平性の確保,収入率の向上を目的とし」た「 催告書の発送や電話による催告等を通した滞納整理業務等を実施」するなか,「滞納整理業務」での「滞納者への接触手段や各催告等を行うタイミングの判断」が「担当職員の経験による部分が大きく」,「客観的な指針等によりこれらの判断を行うのが困難である」との認識のもと,同課題の「解決に向け」「AI」「技術の活用」*1を予定としている.

「一定程度の知識経験」*2が要するとされる滞納整理業務への活用となる同取組.滞納額の推移は,要観察.

*1:仙台市HP(事業者向け情報契約・入札:事業者募集 :市税滞納整理におけるAIによるデータ分析等の委託事業者を募集します)「市税滞納整理におけるAIによる分析等及びBIツール導入業務委託 仕様書

*2:稲継裕昭『AIで変わる自治体業務 残る仕事、求められる人材』(ぎょうせい,2018年)154頁

AIで変わる自治体業務―残る仕事、求められる人材

AIで変わる自治体業務―残る仕事、求められる人材

国際会議後は福島旅行を=復興へ協定締結-県や都など (時事通信2019年6月6日) 

 福島県と東京都、東京観光財団は6日、国際会議や展示会といった「MICE(マイス)」を誘致し、参加者に終了後の福島県への旅行を呼び掛ける取り組みなどを共同で進める協定を締結した。今後、県内の観光スポット情報を参加者に提供するほか、観光モデルコースを作り、旅行を通じた復興を後押しする。
 都庁での締結式に参加した小池百合子都知事は「国際会議の参加者に福島を訪れていただき、美しい自然、豊かな文化などを味わってもらいたい」と強調。福島県の内堀雅雄知事は「(東京電力福島第1原発事故の)風評払拭(ふっしょく)と福島の復興をさらに前に進めていくための大きな力になると期待している」と語った。

本記事では,東京都におけるMICE誘致の取組を紹介.

同都では,同県と同財団との間で,2019年「6月6日」に「都市間連携によるMICE誘致の推進に係る基本協定」を「締結」*1.同都では,2017年度に「札幌市,石川県,京都市,福岡市」,2018年度には「沖縄県名古屋市・愛知県」と同協定を「締結」しており,同県は「7都市目」」*2となる.同協定に基づき,「国際会議,企業系会議後の参加者の福島県への送客に向けた取組」,「報奨・研修旅行等の誘致に向けた共同事業」*3の実施が予定されている.

「協定」「に基づいて」「パートナーシップとしての連携を制度化」*4する同取組.今後の連携事業は,要観察.

*1:東京都HP(都政情報 : 報道発表 :これまでの報道発表報道発表/平成31年 令和元年(2019年):5月)「福島県と「MICE誘致の推進に係る基本協定」を締結

*2:前掲注1・東京都(福島県と「MICE誘致の推進に係る基本協定」を締結)

*3:前掲注1・東京都(福島県と「MICE誘致の推進に係る基本協定」を締結)

*4:伊藤正次「多機関連携研究のさらなる展開に向けて」伊藤正次編著『多機関連携の行政学 事例研究によるアプローチ』(有斐閣,2019年)216頁

多機関連携の行政学 -- 事例研究によるアプローチ

多機関連携の行政学 -- 事例研究によるアプローチ