宮崎市議会が25日、開会した。会期を14日までの19日間と決め、市は1318億2000万円の来年度一般会計当初予算案や「地域コミュニティ税」を導入するための条例案など計60議案を提出した。
 同税は、市民1人当たり年500円を徴収し、各地域での福祉、防災活動などに充てるのが目的。だが、「時期尚早」などとして導入に反対する市議が新会派を結成するなど市議の間に反対、慎重意見も出ており、議会の結論が注目される。本会議で提出案件を説明した津村重光市長は、「これからは地域住民が自ら地域の課題解決に取り組むことが重要。地域を自分たちの手で住みよくするための財源として全額を地域へ交付する」と新税導入の意義を強調した。一般質問は3〜6日、委員会は7、10、11、12日。
 「地域コミュニティ税」の導入について審議する宮崎市議会が開会した25日、市民団体「地域まちづくりをすすめる会」(坂元昌訓(まさのり)代表)が、同税の早期実現を求める要望書や署名を、津村重光市長と日高義幸市議会議長らに提出した。
 同会は、市内15の地域自治区にある地域協議会の会長でつくった団体。署名は同協議会の委員287人のうち、252人から集めた。坂元代表は「全委員のうち87・8%の委員が署名してくれた。地域の特性を生かした自主的なまちづくりを推進することができ、地域の活性化につながる」と要望書などを手渡した。
 津村市長は「温かいご理解を頂いた。無事、(税が)成立するよう努力したい」。日高議長は「賛成、慎重、反対と色々な意見がある。慎重に検討します」と述べた。地域コミュニティ税を巡っては、コミュニティ税に反対する市内の主婦らでつくる「地域コミュニティ税に反対する会」が22日、559人分の署名を集めて津村市長あてに提出した。同会は「地域活動の自主的な取り組みを促す考えには賛同するが、増税は安易すぎる」などと主張している。別の市民団体も同日、「自治会費の二重取りで増税」などとし、同税導入に反対する2972人の署名を市に提出した。

同記事では、宮崎市で「地域コミュニティ税」導入のための改正条例案が提出されたことを紹介。同記事では、市長と住民からの反応を中心に紹介されているが、同税案の内容は、宮崎市の「(仮称)地域コミュニティ税検討委員会」等のホームページ*1を見ると分かる。
目的は、地域自治区合併特例区を対象にした地域の防犯防災・地域福祉・環境・地域再生等のための交付金としての財源確保にある、という。対象は、市民税均等割が課税されている約16万人であり、年額一人当たり500円を市民税の均等割に超過課税で課税することを想定している。税収の規模は約8千万円。
超過課税であるため「増税」の指摘は免れないが、現在、毀誉褒貶が激しい地域自治区制度を起点とした振興資金に充当する発想は大変興味深く、同税の制度趣旨には高く評価。交付の規模は大きく異なるが、現在、各政令指定都市で行われている行政区長への裁量予算制度にも類似した仕組みと思われる。また、目的税とせず、超過課税とした点も一つの判断。そのためか、同税の名称(超過課税ですので「通称」とは思いますが)には、市としての「思い」があるようであるが、その反面、上記の制度趣旨が分かり難くなっているのではないかとも思う。
また、同税に関して検討した「(仮称)地域コミュニティ税検討委員会」の報告書でも数カ所で指摘されてはいるが、同税は自治会の会費徴収との「二重取り」ではないとの認識が示されている。確かに、制度を見ると会費の代行徴収ではない。ただ、地域の防犯防災・地域福祉・環境・地域再生等の実施もまた、自治会の活動となれば、結果としては、地域自治区を通じて自治会への振興費や委託費として交付されること(自治会の財源となること)も想定される。その場合、市民には同税と自治会費の「デュアル・ランニング」*2と映ることは致し方ないか。今後の推移を要観察。