消費者が求めていないのに訪問などで商品を勧める「飛び込み勧誘」を禁じる全国初の条例が秋田県議会で検討されている。悪質商法から高齢者らを守る狙いで、他の自治体にも影響を与えそうだが、関係業界は「営業できなくなる」と強く反発している。
条例は「不招請勧誘禁止条例」。高齢者を狙った投資詐欺事件などの被害が多発していることを受け、自民党を含む超党派の県議らが秋田弁護士会と協力して条例案を詰めている。今後、一般から意見を聴いた上で、年内にも議員提案で成立させ、早ければ09年度からの施行を目指している。素案によると、65歳以上の高齢者のほか、未成年者など「判断力不足」とされる消費者には、あらゆる商品・サービスについて、事前の求めがない限り、訪問、電話、ファクス、電子メールでの勧誘を禁止。また、投資信託、株式、変額年金保険などの元本保証のない金融商品については、すべての消費者に対する飛び込み勧誘を一律に禁止する内容になっている。「不招請勧誘拒否登録制度」も導入する。金融商品以外の商品・サービスについて、飛び込み勧誘禁止対象の高齢者などではなくても、住所や電話番号を県に登録すれば、登録者に対する飛び込み勧誘が原則禁じられる。登録者は、玄関先などにステッカーを張ることもできる。違反した業者には、県が勧誘の禁止や業務の停止などを命じることができ、応じなければ、2年以下の懲役か100万円以下の罰金を科す。国の制度では、金融先物取引法(現・金融商品取引法)が05年7月から、投機の性格が極めて強い金融先物取引に限り、飛び込み勧誘を禁じている。訪問販売などのルールを定めた特定商取引法や一部自治体の条例には、勧誘をいったん拒んだ消費者への再勧誘を制限する規定があるが、初回の接触は認めている。訪問や電話でのセールスに頼る金融業界や訪問販売業界などは、飛び込み勧誘禁止の動きが広がるのを懸念。「特に問題の大きい商品・サービスに規制対象を絞るべきだ」などと修正を求めている。

同記事では,秋田県で,高齢者や未成年者等の判断能力が不足とされた方への飛び込み勧誘を,初回の接触から一律禁止とする条例案議員立法で提出予定であることを紹介.
「飛び込み勧誘」の範囲及び要件の規定次第と思うが,初回の接触から門戸を閉ざすことを須く禁止してしまうと,現行憲法では保障されていると解されている「営業の自由」を制限することも想定される.これには,「いかなる目的の規制であろうが,合憲性を推定し,著しく不合理であることが明確でない限りは,裁判所は社会経済規制立法を意見とすべきではないように思われる」ともある*1.そのため,「悪質」又は「執拗な場合」というように実態を把握するためのワンクッションを置くことや,又は,悪質と想定される業者を県民からの通報を受け公示等を図ったうえで,それでも悪質とされた場合には,県による行政指導等を行うことが,制度運営上は現実的ではないだろうか.
ただ,このような現実課題への大胆な提案は,議員立法ならではかとも思う.

*1:松井茂記日本国憲法』(有斐閣,2007年)576頁

日本国憲法 第3版

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