日経BPガバメントテクノロジーは2008年2月12日、地方自治体(都道府県・市区)のITガバナンスを評価する「第1回 自治体ITガバナンスランキング」(下表)をまとめた。ランキング1位は千葉県市川市、2位は福島県須賀川市、3位は大阪府高槻市だった。都道府県では佐賀県が1位となった(全体では4位)。調査は、「地方自治体の情報システムに関する調査 2007」として2007年11月に全国の47都道府県・782市・23区(計852団体。10月1日時点に存在した全都道府県・市・区)にアンケート票を郵送。470団体から回答を得た。設問を「基本戦略」「推進体制・人材育成」「予算・実行計画・評価」「調達・開発・運用」「セキュリティ・事業継続」「ユーザーとのコミュニケーション」の6カテゴリーに分けて配点、各カテゴリーごとの偏差値の平均値で総合順位を決めた。首位の市川市はすべてのカテゴリーで5位以内にランクされるバランスの良さが目立った。また、同市は主に住民の利活用の視点で自治体の情報化についての評価を行った「e都市ランキング2007」でも1位を獲得している。今回の「データ編」では総合ランキングTOP80、地域別、人口規模別ランキングを発表する。。ITpro 電子行政では6カテゴリーそれぞれの現状をまとめた「分析編」も随時公開していく予定である。

同記事では,日経BPガバメントテクノロジーが,2007年11月に実施した郵送質問紙調査*1に基づく結果を紹介.市川市は,田畑暁生先生による地域情報化「三部作」の一つである東日本版のなかに,「各種指標で情報化の先進都市の一つ」とあり,あわせて「情報化に特化した計画は策定していない」*2とも特徴づけられている都市.上記調査の内容を見ると,「セキュリティ・事業継続」に関しては1位とあるものの,他の項目は,ベスト5位以内と堅実な取り組みによって,高位評価となった模様.以前,「プロフェッサー」アラン・プロストが,「各レースで1位にならなくても,ドライバーズチャンピンオンにはなれる」とテレビのインタビューでうそぶく映像を見た記憶があるが,これもまた,一瞬の瞬発力よりも,まさに,持続と確実さが成果を生むということを再確認.
同調査では,「推進体制・人材育成」として,CIOの有無が質問項目として加えてある.CIOは,全体的な観点から情報資源の利活用に関して開発・実行上の最高責任者とされる職である.同調査では,個別事例の把握ができないものの,他の調査では,自治体の場合には,主に副知事や副市長がこの職に就く割合が高いとの結果もある*3.実際に,副知事・副市長が「(技術・ソフトの双方の)情報」に関して精通していることは稀とすれば,如何にそれらを補佐する仕組みを一般的に整備するかが課題か.

*1:地方自治体の情報システムに関する調査 2007」(対象:47都道府県,782市,23区,回収は470自治体.結果概要は,同社HP「第1回 自治体ITガバナンスランキング

*2:田畑暁生『東日本の地域情報化政策』(北樹出版,2008年)155頁(よく見ると,手元にある本とアマゾン上の表紙の色が異なるようですが,何故なのだろうか.もしかすると,発刊時期によって緑版・茶版とかあるのだろうか).

東日本の地域情報化政策

東日本の地域情報化政策

*3:沢本吏永・上田啓史・古坂正人・武田みゆき「CIOのバリエーション」須藤修・他 編『CIO学』(東京大学出版会,2007年)187頁

CIO学―IT経営戦略の未来

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