取手市議会議会改革調査特別委員会(倉持光男委員長)は二十三日、審議会などに出席した市議会議員に対し市から支給される報酬・費用弁償を辞退することを全会一致で決めた。九月市議会に条例案を提出し、十月から実施する。
 条例が可決されれば、一人当たり年間二回程度の出席で、各議員に支給された総額三十一万円程度(二〇〇七年度実績)の報酬が廃止される見込み。特別委は市土地開発公社など議会選出理事の報酬も全廃する方針だ。同市議会は、二十四項目の審議会、審査会、協議会などの委員を“充て職”として市議から選任。出席した議員に、日額三千円から六千三百円の報酬が市から支給されていた。議員からの「議員報酬の二重取り」という声や、支給を辞退した議員が「報酬の辞退・返還は、公選法の寄付行為に抵触する」と市に受け取りを拒否されたことから、特別委を設置して報酬全廃を審議していた。倉持委員長は「将来的には一部事務組合の議員報酬にも範囲を拡大したい」と話している。(坂入基之)

同記事では,取手市において,審議会等に参加されている議員へ支給される報酬・費用弁償の受取を辞退することを,同市議会議会改革調査特別委員会において,全会一致で決定したことを紹介.執行部側の諮問機関(いわば政策形成段階)へ「議選委員」が加わることについては,古来から種々の考え方があるなか,まずは費用面での線引きを行った事例.
ただ,同記事のみの情報のため,詳細を把握できない.法定により議員がその構成員とされる審議会の報酬・費用弁償はこの対象となるかと思われるが,以前,本備忘録でも見た,条例に基づかない諮問機関(いわば,「名ばかり委員会」)においても,同様の措置となるだろうか.同記事にある「など」と記載されていることからすれば,「名ばかり委員会」もまた含まれているのだろうか.要確認.
報酬・給料・手当・費用弁償・旅費・退職年金等は条例に基づかないと支給できないとする「給与等条例主義」があるものの,一般的に,議員としての報酬額を確定する場合には,「議員がお手盛りで高水準の報酬を定める虞があることをかんがみ,附属機関として特別職報酬等審議会に諮問し,その答申を得て条例の改正を行うことが一般化している」*1という.そのため,同市市議会の議決による実態が常態化するようであれば,これに条例が追いつくためにも,首長から,諮問機関への諮問を行い,答申を受け,条例改正を行うという手続を踏むことになるかとも思われる.同市市議会自らで関連条例の改正を行えばよいのでは,とも思うが,なかなかどうして直線的に条例改正には結びつかないものなのだろう.

*1:碓井光明『政府経費法精義』(信山社,2008年)440〜441頁(同書は,政府経費について体系的に勉強をさせていただける良書.そして,なによりも最高に面白い.(自治体)行政観察者は必読.)

政府経費法精義

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