尾道市教委は、御調、向島瀬戸田の3支所がそれぞれ保管している古文書・歴史資料を、同市東久保町のおのみち生涯学習センターで一元管理する方針を固めた。散逸を防ぎ、将来に実施する合併後の市史編集作業に備える。
 文化振興課によると、3支所には江戸前期から昭和初期にかけて作成された古文書類が計約4000点ある。土地の租税台帳や徴兵名簿、伝染病予防を伝える文書といった行政文書をはじめ、商家の帳簿や金の貸し付け帳など分野は多岐にわたるという。計画では、本年度中に向島支所にある書類をおのみち生涯学習センター内にある市教委の尾道遺跡発掘調査研究所に移動。文書ごとに作成年代や公・私文書の別、大まかな内容をパソコンに入力してデータベース化する。御調、瀬戸田の両支所分は来年度以降に移す。

同記事では,尾道市において,旧合併町における古文書等を散逸予防のため,市として一元管理を行うことを紹介.各種史料の文書となると一定量もあるだろうし,史料の質によっては保管体制にも注意を払う必要がある.され,どのような施設を用いているのだろうかと思い,同市HPを見てみると*1,旧小学校校舎を改修した生涯学習活動の支援施設.なるほど,こちらも古きものを保存・再利用される模様.これであればまずは保管スペースとしては確保されそう.
ただ,余り理解され難いことなのかもしれないが,史料・公文書には「品質管理」こそが,不可欠な業務.そのためにも,「文書管理に関する専門家(レコードマネージャー、アーキビスト等)」*2の整備は必要といえるが,実質的には自治体の財政上の現状を念頭に置くと,これらの整備は難しいか.
アンソニー・ダウンズは,官僚機構の意思伝達システムに関する分析において,下位層から上位層への情報伝達において行われる「情報圧縮」という「ふるい分け」により,伝達情報の「歪曲」が生じることを分析したが*3,過ぎ去った意思決定過程をその「歪曲」の有無を含めて振り返るときには,「古い分け」された資料頼みの部分が多い.文書保管のための,良策はないものだろうか.