京都市が業務上の功績や社会貢献を理由に職員を表彰する制度で、過去3年間で7人の職員に副賞として現金を贈っていることが13日、分かった。法令上で禁じられていないが、「社会通念上、なじまない」と見直しを求める声も出ている。
 市は職務上の有益な研究や調査をした職員に「業績表彰」を、また、人命救助などを行い模範となる職員に「善行表彰」を贈り、「賞品または賞金を授与することがある」と定めている。 市によると、1955年から表彰制度を設け、確認できる過去3年間で表彰した職員24人のうち、人命救助などで貢献があった4人に1万円、消火活動に協力した3人に5000円を贈った。賞金額の基準はなく、過去の表彰実績を参考にその都度決めるという。 政令市の中で、職員表彰の際、現金を贈っているのは京都市のほか福岡市だけで、大阪市など九市は写真アルバムや茶器などの記念品を贈っている。新潟市では厳しい財政事情から「身内の表彰に税金を使うべきではない」として、3年前に表彰制度を廃止した。 京都市人事課は「労働意欲の向上につながる。対象者も金額も少なく問題ない」としているが、同志社大の真山達志教授(行政学)は「行政は民間企業と違い、納税者の理解を得なければならない。社会通念上、現金を贈ることは市民感情になじまない」と指摘している。

同記事では,京都市において,「業績表彰」・「善行表彰」を行い,その副賞として現金を贈呈していることを紹介.
京都市優良職員等表彰規則」*1を拝見すると,同規則第3条では,まず「業績表彰」に関しては,「職務に関し有益な研究もしくは調査をし又は有益な発明もしくは発見をしたとき」,「職務の遂行につき能率の向上,合理化に特別の努力をして抜群の成績を挙げたとき」,「市民と直接に接する職務に従事し,他の模範となるとき」,「前各号に定めるものを除き,職務に関し顕著な業績を挙げたとき」の一に該当すると認められるときその職員に対して行うとされている.また,「善行表彰」に関しては,「職員が他の職員の模範として推奨されるべき善行をしたとき,その職員に対して行なう」とある.そして,同規則第4条に基づき,表彰を表彰状を授与して行われるほかにも,同条2項により「賞品又は賞金を授与して行うことがある」とされている.
同記事によると,賞金額の基準は明確ではないとされるが,むしろ,その「模範」の解釈もまた分かれそうにも思われる.「模範」の測定基準も整備されているのだろうか.もしも,その基準がないとすれば,やはり「相場が立つ」*2ことで,これに依拠されているのだろうか.興味深い.

*1:京都市HP(総務局:文書課京都市例規集)「京都市優良職員等表彰規則」(昭和30年10月27日,規則第73号)

*2:大森彌『官のシステム』(東京大学出版会,2007年)74頁

官のシステム (行政学叢書)

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