三重県議会は23日、外部の有識者などで構成する付属機関「議会改革諮問会議」の設置条例案を全会一致で可決した。
 議会改革を第三者の観点から評価、検証するのが狙い。萩野虔一県議会議長は「質の高い議会改革に取り組んでいくためには外部の意見が必要」と意義を強調している。
 県議会事務局によると、地方議会が議会改革のチェックのために付属機関を設けるのは全国初。会議の答申に拘束力はないが、改革に向けた議会の積極姿勢を示すものとして注目される。諮問会議は5人以内の委員で構成され、現県議が任期満了を迎える2011年4月まで試行的に設置する。県議会は、必要に応じ政策提言など議会の機能や議会改革について諮問。会議は調査や審議を重ねた上で意見を答申する。

同記事では,三重県において,同県議会に附属機関を設置する条例案が全会一致で可決されたことを紹介.2009年2月4日付の本備忘録でとりあげた同県議会における検討状況のその後.
同備忘録でも触れたように,同県議会基本条例*1の第12条では,「議会は,議会活動に関し,審査,諮問又は調査のため必要があると認めるときは,別に条例で定めるところにより,附属機関を設置することができる」と,広範な目的(諮問目的)に基づき設置が可能との判断が同条例内では示されている.一方で,同記事で紹介されている,今回,設置条例が制定された附属機関に関しては,既に同県議会HPに掲載されている「三重県における議会改革」の各事項に関する進捗管理を行うことに限定されている模様.そのため,同諮問機関においては,諮問事項の設定(agenda setting)めぐり,諮問事項主体(setter)による諮問事項の管理(agenda control)*2は生じないかのように窺える.ただ,今後新たな諮問機関に関する条例が制定された場合には,議会内での諮問事項主体が如何に確定されるのだろうか,興味深いところ.今後の設置状況を含めて,観察してみたい.
なお,他自治体でも,議会基本条例を制定する他自治体においても,同種の附属機関設置に関する規定を設けるところもあり*3,今後,議会における附属機関が「標準装備」となるのだろうか.個人的には,合議体を敢えて設置することがなくても,地方自治法第100条の2に基づく「専門事項に係る調査」に基づき,「複数」(個人に限らず,法人・法人格のない団体・組織等・大学・調査研究機関・コンサルタント会社等*4)の「学識経験を有する者等」に対して調査を図ることで,評価や進行管理等の目的を適うかと思わなくもないが,合議体でなければならないとする目的があるのだろうか(そのため,なかなか,個人的には頭の中では整理がつかない動向であったりもします.うーん,難しい).

*1:三重県議会HP(県議会の活動)「議会基本条例

*2:Majone,Giandomenico(2006)“AGENDA SETTING"in Michael Moran,Martin Rein,Robert E.Goodin,The Oxford Handbook of Public Policy.Oxford UP.230

The Oxford Handbook of Public Policy (Oxford Handbooks of Political Science)

The Oxford Handbook of Public Policy (Oxford Handbooks of Political Science)

*3:例えば,市民参加型の附属機関として,北海道新聞(2009年3月12日付)「議員活動の評議組織、市民が委員会審議参加 登別市議会」を参照

*4:松本英昭『新版 逐条地方自治法第5次改訂版』(学陽書房,2009年)366頁(結局,第5次改訂版は,研究費で購入)

新版 逐条地方自治法

新版 逐条地方自治法