東京都は3日、悪質な勧誘などで業者を行政処分する際、事実関係の解明に協力した消費者を保護、支援する制度を創設したと発表した。消費者を逆恨みする業者からの嫌がらせなどから守るため、都が業者に警告したり、裁判に発展した場合は訴訟費用を貸し付けたりする。
 都によると、全国初の制度。特定商取引法や都消費生活条例に基づく行政処分は2007年度、47件あり、過去最多となった。一方で業務停止命令などの処分を受けた業者が被害を証言した消費者に「虚偽の証言で損害を被った。金を払え」などと強要するケースが目立ち始めた。創設した制度では、まず処分に協力した消費者の名簿を作成。迷惑行為を繰り返す業者に対して、都がやめるよう警告する。協力者が業者に対して迷惑行為の差し止めを求める訴訟を起こしたり、逆に業者から損害賠償を請求されたりした場合は、協力者に訴訟費用を無利子で貸し付ける。

同記事では,東京都において,「消費者被害に係る行政処分の実施」に際して,「処分の対象となった事業者の違反事実の認定に際して協力した消費者」と「事業者との間」*1でトラブルが生じた場合等に支援する制度(『行政処分に係る協力消費者支援プログラム』)を整備したことを紹介.
同制度を検討した「行政処分協力者支援制度に関する検討会」では,「行政処分」にめぐる訴訟では,「都が認定した事実関係について争い」となるため,「消費者の証言が争点」(2頁)として,「行政処分制度の実効性のある運用を確保するうえからも,公的な支援制度を行政の責任において確立する必要」(4-5頁)との判断が示されており,行政処分においても,「証人等の被害の給付に関する法律」に類した支援制度の必要性が構想されている.
同報告を受けて整備された制度の内容については,同都HPを参照*2.「東京都による事業者に対する警告」,「専門家による支援(弁護士による専門的助言等)」,「訴訟等に際しての弁護士費用の助成又は貸付」が主たるその内容.上記の研究会において,指摘されるように,「行政処分に協力した消費者への迷惑行為は,特商法の執行に対する妨害行為であり,国が法律で対応すべき事柄である.都は,国に対し,法改正や制度整備について積極的に働きかけていく必要がある」(15頁)とあるものの,特定商取引法を新たに所管するとされる*3消費者庁の設置を巡る審議自体は「3条機関化」*4等の位置づけに関する修正案の審議状況にあるなかで,同都の着実な取り組み.