政府は14日、地域主権戦略会議(議長・鳩山由紀夫首相)の初会合を首相官邸で開き、原口一博総務相が改革の工程表案を提示した。地方の自主財源強化、直轄事業負担金の廃止、市町村への権限移譲の具体策などを盛り込んだ「地域主権戦略大綱」(仮称)を来年夏に策定。使途が決められた「ひも付き補助金」の廃止と一括交付金化を2011年度から段階的に実施するなど、13年夏までの実現を目指す。
 また工程表では、地方自治法を抜本改正し、新たに「地方政府基本法」を制定するとした。橋下徹大阪府知事は工程表案に関し「地域と国の形をどうするのか。国家運営のモデルを示していただきたい」と強調。上田清司埼玉県知事は「一日も早く権限、財源を地方に移譲し、国家全体の財政コストを減らすべきだ」と訴えた。
 会合では、国が法令で自治体の仕事を縛る「義務付け」の見直しなどを盛り込んだ地方分権改革推進計画案も決定。地方側が求めた104項目のうち、35%の36項目を政府の地方分権改革推進委員会の勧告通りに見直すとした。政府は近く計画を閣議決定。関係法令をまとめて改正する「地域主権推進一括法案」を来年の通常国会に提出する。焦点だった全国一律の保育所の床面積基準は、待機児童が多い東京などの大都市に限って緩和する。

 政府は十四日午前、首相官邸で開いた地域主権戦略会議の初会合で、国が法令で自治体の仕事を縛る「義務付け」の見直しを柱とする地方分権改革推進計画案を提示した。ただ、見直し対象の百四条項のうち、地方分権改革推進委員会の第四次勧告通りに見直すのは三十六にとどまり、地方側が反発を強めそうだ。
 十五日にも計画を閣議決定し、来年の通常国会に関連法案を提出する。義務付けに関しては推進委は八百九十二条項の見直しを政府に勧告した。そのうち、地方の要望が強い百四の先行見直しを原口一博総務相が関係府省に要求。「勧告通り見直す」との回答は二十八だけだったため、原口氏は各府省に追加を求めたが、八条項増にとどまった。計画に盛り込まれるのは、全国一律の保育室の面積基準を、東京など大都市に限り緩和する▽公営住宅の入居者資格に関し、同居親族が必要との要件を廃止し、月収十五万八千円以下とする収入基準は条例委任▽公営住宅の整備基準を条例委任−など。義務付け見直しのほかに、国と地方の協議機関は「地方と連携・協議しつつ、政府内で成案を得て法案を提出する」と明記。改革推進体制に関しては、改革の工程表を明らかにした上で「スピード感をもって改革を実行に移す」とした。
 原口氏は、来年夏に地域主権戦略大綱を策定することを柱とする工程表「原口プラン」も提示したが、「ペースが遅い」との意見が出たため、再検討することにした。

政府は15日、国が自治体の業務を縛る「義務付け」の見直しを柱とする地方分権改革推進計画を閣議決定する。自治体から改革要望が強い104項目のうち、地方分権改革推進委員会の勧告通りに見直すとしたのは、公営住宅の整備基準など36項目で、一部見直しが34項目となった。
 地方が要望した分以外も含めると、見直しは121項目。政府は同計画を踏まえ次期通常国会地域主権推進一括法案を提出する方針。分権委は国による義務付けのうち、約4000項目を問題視しており、政府は今後も見直しに取り組む考えだ。 
 勧告通りに対応したのは、▽1戸の床面積は19平方メートル以上などとする公営住宅の整備基準や入居収入基準(月15万8000円以下)を条例に委任▽道路の構造基準を条例に委任−など。一部見直しは、保育所に関する基準などで、厚生労働省保育所の面積基準を都市部に限り緩和するとしたが、人員配置の基準や調理室を必ず置くよう求める規制は国の画一的な基準が残った。公立学校の学級編成基準や教員定数は今後の検討課題とした。
 同計画には、「国と地方の協議の場」や、地方分権改革を進めるため発足した「地域主権戦略会議」の法制化も明記した

同記事では,地方主権戦略会議の第1回の開催及びその審議内容並びに地方分権改革推進計画の内容を紹介.
下名,昨日午前・午後と川崎市と杉並区にある二つの学校での非常勤講義の終了後,本日からの聞き取り調査のために,長崎市へ移動.深くなりつつ時間帯に同市に到着し,福山雅治さんのサインが妙に多く飾られている「思案橋ラーメン」にて,遅くなった夕食としてチャンポンを頂いた後,何とか宿泊先に到着.宿泊先にて,同会議の審議状況を,地方分権改革推進委員会の審議内容への観察方法の慣習に沿い,映像にて確認しようと同会議HPを見るものの,同会議では映像配信は行われていないことに(今更ながら)気付く.残念.
2009年12月14日に開催された同会議の第1回.同回の配布資料に関しては,同会議HPを参照*1.同回では,第2記事にて報道されている「地域主権戦略の工程表(案)」*2と,第3記事において配信されている「地方分権改革推進計画(案)」*3の二つの案件が審議された模様.
前者の工程表に関しては,本内閣が示す「地域主権*4を敷衍した改革課題が,同表の同会議が,同工程表において示されており,同会議の分類によると,大別すると「〈規制〉関連」「〈予算〉関連」「〈法制〉関連」の3分野.「〈規制〉関連」では,「法令による自治体への義務付け・枠付けの見直し」と「基礎自治体への権限移譲」の2項目.「〈予算〉関連」では,「一括交付金化(ひもつき補助金の廃止)」「地方税財源の充実確保」「直轄事業負担金の廃止」「緑の分権改革の推進」の4項目.「〈法制〉関連」では,「地方政府基本法の制定(地方自治法の抜本見直し)」「自治体間連携」「出先機関改革」「国・地方の協議の場の法制化」の4項目.同工程表を拝読すると,第3記事でも報道されている『地方分権改革推進計画(案)』の項目が限定的とされるのは,同会議において,地方分権改革推進会議の各勧告内容を,段階的に審議されるからなのだろうか,要確認.
また,同工程表の達成時期に関しては,「期限を限って」2つの「段階を区切」られている.まずは,「概ね平22年夏まで」の「フェーズⅠ」*5として,「地域主権戦略会議の設置」を「閣議決定」し「法制化」し,平成「22年夏施行,3年後に見直し」の予定,第2に「当面の課題と進め方の概定(「工程表」(案)の提示,具体化)」,第3に「国と地方の協議の場の始動と法制化」を平成「21.11始動」し「法制化」,第4に「義務付け・枠付けの見直し」を行い,「地方要望分を「分権計画」に盛り込み,法制化」を図るとある.あわせて,同期までに「地域主権戦略大綱」を取りまとめるとされる.その他の上記項目に関しては,「概ね平22年夏〜25年夏」までの「フェーズⅡ」*6として位置付けている.ただし,同工程に関しては,第2記事にて紹介されているように「再検討」とされた模様.具体的な審議内容は,原則「公表」とされている「会議の議事要旨及び議事録」*7の公表後に,要確認.
下名個人の関心としては,2009年11月8日付の本備忘録でも記したように,地方制度調査会への対応.同会は未開催のまま制度的には残置されるのか,または,同会議との併設開催による「「多極分散型」分権論議*8とされるか,要経過観察.

*1:内閣府HP(地域主権地域主権戦略会議会議開催状況)「地域主権戦略会議(第1回)(開催日平成21年12月14日(月)議事次第・配布資料

*2:内閣府HP(地域主権地域主権戦略会議会議開催状況地域主権戦略会議(第1回)(開催日平成21年12月14日(月)議事次第・配布資料)「資料4地域主権戦略の工程表(案)【原口議員提出資料】

*3:内閣府HP(地域主権地域主権戦略会議会議開催状況地域主権戦略会議(第1回)(開催日平成21年12月14日(月)議事次第・配布資料)「資料5−1地方分権改革推進計画(案)

*4:内閣府HP(地域主権地域主権戦略会議会議開催状況地域主権戦略会議(第1回)(開催日平成21年12月14日(月)議事次第・配布資料)「資料6「地域主権」について(「基本方針」等抜粋)

*5:内閣府HP(地域主権地域主権戦略会議会議開催状況地域主権戦略会議(第1回)(開催日平成21年12月14日(月)議事次第・配布資料)「資料4‐2地域主権戦略の工程表(案)【原口プラン】

*6:前掲注5・内閣府HP(地域主権戦略会議(第1回)資料4‐2)

*7:内閣府HP(地域主権地域主権戦略会議会議開催状況地域主権戦略会議(第1回)(開催日平成21年12月14日(月)議事次第・配布資料)「資料3地域主権戦略会議 運営要領(案)

*8:西尾勝地方分権改革』(東京大学出版会,2007年)206頁

地方分権改革 (行政学叢書)

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