心と体の性が一致しない性同一性障害の児童や生徒への対応について、文部科学省は13日までに、教育相談を徹底することや医療機関との連携を求める通知を都道府県教育委員会などに出した。
 性同一性障害の子どもをめぐっては、埼玉県の公立小で男児に女児としての通学を認めたり、鹿児島県の公立中が女子生徒に男子制服の着用を認めたりした例がある。通知では、個別の事案に応じたきめ細やかな対応が必要と指摘。教育相談で悩みや不安を受け止め、教職員やスクールカウンセラーらが医療機関とも連携して、児童らの気持ちに配慮した対応をするよう求めている。

本記事では,文部科学省が,都道府県の教育委員会に対して,性同一性障害の児童や生徒への対応に関する通知がなされたこと紹介.同文書の性格を確認してみようと,同省HPを拝見してみるも,(下名の検索方法に問題があるのでしょうか)把握できず,残念.同文書の内容は,要確認.
同「通知」に関しては,2010年5月13日付の毎日新聞でも報道.同報道では,同「通知」に至る経緯として,当初「国が指導すると教育現場が過剰反応する恐れがある」との「立場」から,最終的には「『しっかり対応すべきだ』とのメッセージを伝える必要があると判断」*1から策定されたことも紹介.
「小さな声であっても「ある」という事実を突きつけられてしまうと,「ない」ことにはできない」*2ことからすれば,まずは,「縦系列」*3の「声」に対して耳を傾けることを想定されている模様.ただ,文書の有無に限らず,「不可視化」*4にはならない目の前に「ある」なかでの小さな当事者からの「回復メカニズム」としての「発言オプション」*5の「小さな声」*6が示される現状に対して,「縦系列」の文書が「ある」ことが,一定の効用を有することにもなるのだろうか.「個別の事案に応じたきめ細やかな対応」を求められ,「受容」*7する側の対応は,要観察.

*1:毎日新聞(2010年5月13日付)「性同一性障害:「配慮を」 文科省、都道府県教委に通知

*2:上川あや『変えていく勇気』(岩波書店,2007年)172頁

変えてゆく勇気―「性同一性障害」の私から (岩波新書)

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*3:小川正人『教育改革のゆくえ』(筑摩書房,2010年)166頁

教育改革のゆくえ ――国から地方へ (ちくま新書 828)

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*4:手塚洋輔『戦後行政の構造とディレンマ』(藤原書店,2010年)288頁

戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷

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*5:A.O. ハーシュマン『離脱・発言・忠誠』(ミネルヴァ書房,2005年)50〜59頁

離脱・発言・忠誠―企業・組織・国家における衰退への反応 (MINERVA人文・社会科学叢書)

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*6:前掲注2・上川あや2007年:196頁

*7:ハーバード・A.サイモン『経営行動』(ダイアモンド社,2009年)13頁

新版 経営行動―経営組織における意思決定過程の研究

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