白川村が12年前に2000部発行した「新編白川村史」の半数以上が売れ残っている。世界遺産となった合掌集落が注目される中で需要を見込んで発行したが、購入数は700部足らず。村は半額にしたが反応は今ひとつの状況。また、在庫数も把握していなかった。
 村史は、合掌集落が世界遺産に登録された3年後の1998年3月に3巻セット、価格2万円で発行。当時、村民には半額の1万円で販売し、近隣の市町村や県図書館などに寄贈したという。
 村が昨年4月、村民以外にも半額にした際、村の代表監査員が在庫数を問い合わせたところ、村は把握していなかった。同9月の村議会で管理徹底を要請し、村が管理台帳を作った結果、1323部が残っていることが分かった。それ以後、村はホームページにも村史販売の詳細を掲載。谷口尚村長は「完成までの費用を取り戻そうと多く作ったが、一般的には村史は図書館など施設で見るものとの認識があり、見込みが違った。今後も売り方を考えていく」と話すが、半額にした以降の分も合わせて購入数は約10部にとどまる。
 村史は90〜97年度に編さん、発行。村によると、97年度の印刷製本費約3200万円の決算書は残るが、関係書類の保管期間が過ぎ、全体の事業費は不明という。(並木智子)。

本記事では,白川村における村史の販売状況を紹介.同「村史」の詳細については,同村HPを参照*1.「平成10年3月31日に発行」され「上・中・下巻の3冊で構成」,「仕様」は「3冊1セット(上・中・下巻)」で,「価格」は「10,000円(消費税込み)」.本記事によると,「2000部」が刊行され,現在までに「1323部」の残部があるとのこと.
「膨大な議事録・会議録や委員会摘録などを自宅で読了して執筆することが主な」「議会史や市史の編纂・執筆」*2ではあるものの,執筆者にとっては,2009年9月21日付の本備忘録でも言及したように,その執筆に至るご苦労たるや,執筆の「仲間に誘ったとき,彼のご両親は郷里にご健在であるはずなのに,その彼いわく「議会史だけは手を出すなというのが親の遺言です」」*3と発言が漏れるほどの労力とも想定される.決して,販売部数が伸びる分野の文書ではないものの,「いかなる事象・過程であれ,時間的な位置づけと一連の事象のなかでの位置づけによって規定され,そして,さまざまな速度で展開するさまざまな過程との相互作用に囲まれていること認識する」*4うえでも,これらの文書は有効とも思わなくもない.なやましい.

*1:白川村HP(組織教育委員会事務局文化財係)「新編白川村史の販売について

*2:佐藤竺「体験からの私見」『行政学と共同研究』(ぎょうせい,2010年)21頁(amazonには,現在のところ,未掲載の模様)

*3:今村都南雄『わたしの行政学研究』(公人社,2009年),200頁

わたしの行政学研究 (自治総研ブックス)

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*4:ポール・ピアソン『ポリティクス・イン・タイム』(勁草書房,2010年)67頁

ポリティクス・イン・タイム―歴史・制度・社会分析 (ポリティカル・サイエンス・クラシックス 5)

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