松戸市の本郷谷健次市長が8月1日付で新設した政策推進研究室の室長(非常勤)に、6月の市長選で選挙スタッフだった元市川市議の高橋亮平氏(34)を起用したことを巡り、その理由や待遇を巡って議会から疑問の声が上がっている。市議会9月定例会の計4日間の一般質問で、事前通告した議員だけでも6人、それ以外にも多くの議員が取り上げた。
 同研究室は市のシンクタンクという位置付けで、本郷谷市長が選挙で掲げていた。高橋氏は市川市議2期を経て、昨年11月の市川市長選に出馬、落選。民間シンクタンク東京財団」の研究員だった経歴も持つ。松戸市長選では、本郷谷市長のマニフェスト作成にも携わった。
 高橋氏の人件費は年間ベースで約960万円。同年代の常勤職員の約620万円を大きく上回る。議員からは「自分の関係者を高額な賃金で採用することは市役所の私物化ではないか」という指摘も出た。これに対し、本郷谷市長は答弁で、「都市間競争に打ち勝つため市職員が政策形成能力を高める必要がある。自治体研究を行ってきた高橋氏の実績を評価した」と起用の理由を述べ、待遇面について市は、審議監(部長)級を基礎に民間コンサルタントの年収相場も考慮して決めたと説明している。
 本郷谷市長は市立病院の建て替えについては、財政難を理由に現地での建て替えを主張してきただけに、側近とも言える非常勤職員の高額待遇採用は、今後の市政運営にも少なからず影響を与えそうだ。

本記事では,松戸市議会において,同市が設置された政策推進室に関して,同室長職への一般質問が行われたことを紹介.同室に関しては,同市HPを参照*1.「担当業務」は「政策推進のための研究に関すること」とは紹介されているものの,より詳細な分掌を把握すべく,「松戸市事務分掌規則」*2を拝見するものの,同室に関する規程に関しては,現在のところ,規定されていない模様,残念.改正された規則が公開された後には,要確認.
2008年3月5日付の本備忘録にて取り上げた,伊藤正次先生による,首長の補佐役の類型*3を参照しつつ,同職を整理するとすれば,「庁内・非常勤」型に比較的近い職ともいえそう.補佐役の職の多様化もまた観察できるのだろうか.興味深い.補佐役は非常勤職ではあるものの,同組織の管理職に就任されることにより,2010年3月31日付の本備忘録にて記録した,同種組織が往々にして陥る蓋然性を低からず内包する,「真空タンク」化を回避できる効果もまた期待できそうか.
大森彌先生により整理された,よき外部助言者としての条件の1つに「利権や野心がないこと,ライバルにならないこと,見返りを求めないこと・おねだりをしないこと,裏切らないこと」*4にある,という.同職の人件費の多寡に関わらず,外部助言者としての職務に見合った成果を果たすことが肝要ともいえ,その成果こそ,要経過観察.

*1:松戸市HP(組織・部署から探す)「政策推進研究室

*2:松戸市HP(松戸市例規集)「松戸市事務分掌規則」(平成12年3月30日,松戸市規則第13号全部改正)

*3:伊藤正次「首長ブレーン」礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)78頁

ホーンブック 地方自治

ホーンブック 地方自治

*4:大森彌「知事と外部助言者」『年報行政研究41 橋本行革の検証』(ぎょうせい,2006年)98頁

橋本行革の検証 (年報行政研究)

橋本行革の検証 (年報行政研究)