島田市は本年度の大卒一般職の市職員採用で、採用試験の補欠合格者を対象に、希望者を補助職員として臨時採用し、翌年度に特別枠の採用試験を課して正規職員への道を開く新制度を導入する。1日の会見で桜井勝郎市長が発表した。事実上、インターン(実地研修)を採用制度に組み入れる選考方法で、総務省公務員課は「聞いたことがなく、珍しい」とし、市によると全国で初めて。
 桜井市長は狙いについて「筆記が有利な従来の採用だけでいいのか。公務員として優秀な人材を確保したい」と述べた。通常、自治体の大卒一般職の採用は、筆記や面接試験の結果、任用候補者名簿に登載された成績順に内定を通知する。内定辞退者がいれば、順次、採用を通知する。
 島田市の新採用制度は、正規採用に漏れた名簿登載者に補助職員への採用を打診。作文と面接だけの秋の特別枠の受験資格を与える。一般常識などを問う筆記試験は免除する。市によると、毎年5〜7人が“補欠合格”となり、採用辞退に応じて正規職員として採用されている。地方公務員法で、正規採用を前提とした補助職員の採用はできず、市も「臨時職員の採用は正規職員ありきではなく、あくまで別枠の試験資格が得られるだけ」としている。総務省は同市の新制度に「当初の採用試験とは別に、市が臨時採用した職員を“特別に採用に足る”として選考で採用するのでは。間近で勤務態度を見ることができ、いいかもしれない」としている。

本記事では,島田市における職員採用試験の補欠合格者に対する取組を紹介.同取組の詳細及び本記事でも紹介されている「会見」の内容に関しては,現在のところ,同市HPでは把握できず,残念.本記事のみの情報.「採用試験の補欠合格者を対象」に,希望者には「補助職員」として臨時採用し,その後,「翌年度」には「特別枠の採用試験」を実施し,「正規職員」として採用される経路を設ける方針とのこと.
「一所の執務空間」*1の中で勤務される職員の方々へには,「仲間」となる(又は,なり得る)方々への「働きぶりを見る目線」*2という,「眼差と配慮」*3を通じて形成される,人物評価への「相場」*4観こそが,採用者においても,その「目線は案外厳しく,完璧とは言えないまでも,ある程度は正確」*5として,信に足り得るということだろうか,非常に興味深い.2010年8月11日付の本備忘録で記録した,合格数者過誤と採用者数過誤の「ディレンマ」*6を回避するための取組としても参考となりそう.
同取組の具体化の様相は,要経過観察.

*1:大森彌『官のシステム』(東京大学出版会,2006年)73頁

官のシステム (行政学叢書)

官のシステム (行政学叢書)

*2:中村圭介『実践!自治体の人事評価』(ぎょうせい,2007年)20頁

実践!自治体の人事評価―「評価される側」からのアプローチ

実践!自治体の人事評価―「評価される側」からのアプローチ

*3:前掲注1・大森彌2006年:67頁

*4:前掲注1・大森彌2006年:67頁

*5:前掲注2・中村圭介2009年:12頁

*6:手塚洋輔『戦後行政の構造とディレンマ』(藤原書店,2010年)24頁

戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷

戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷