衆院総務委員会は21日、「国と地方の協議の場」設置法案などの地域主権関連3法案について、法案名や条文から「地域主権改革」の文言を削除するなどの修正をして可決した。民主、自民、公明3党などが賛成したため、今国会で成立する公算が大きくなった。「地域主権戦略会議」を法定化する条項も削ったが、同会議は閣議決定を根拠として今後も存続する見通しだ。

本記事では,国会において,旧「地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」(正式には,「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」*1でしょうか),「国と地方の協議の場に関する法律案」(地域主権改革関連2法案)及び地方自治法改正案に関する審議状況を紹介.
2010年11月26日付の本備忘録にて記録した,いわゆる「地域主権関連3法案」の(ただ,第177回の通常国会では「地域自主戦略交付金」に伴う「内閣府設置法の一部を改正する法律案」*2が提出されており,結果的には現在では「地域主権関連3法案」ならぬ「地域主権関連4法案」でしょうか),政府における「地域主権」の文言「削除」の方針に対して,衆議院総務委員会での審査により,「法案名や条文から「地域主権改革」の文言を削除」された法案を採決,
「「地域主権」はまさしく「国家権力を正す」営みのはず」*3との解釈のもとでの期待が示されたり,「人間の姿が不明確な「地域」が主権を持つことは,理解が難しい」*4等の見解が示されることもあった,「不思議なことば」*5としての「地域主権」.しばし,「法案修正を目的とする実質的審議を行わなくなった」ことで「もっぱら〈政府・与党〉対〈野党〉の論戦の場」*6になる,とも評されることもある委員会運営のなかで,名称の変更という形式を改め,法案内容という実質が確定されたとも整理ができそう.
ただ,旧「地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」では,同法案の第3条に規定されていた「内閣府設置法」の「一部を次のように改正」されるとの案,つまり,内閣府において「地域主権改革を推進するための基本的な政策に関する事項の企画及び立案並びに総合調整に関する事務」を所掌されることや「地域主権戦略会議」に関する所掌に関する案*7に関する規定は,第177回の通常国会に提出されている「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」では含まれてはいない模様(下名の法案の読み方が悪いのでしょうか).旧「地域主権関連3法案」から新「地域主権関連3法案」,そして「地域主権関連4法案」の審議のなかでの,内閣府設置法に関する規定の審議に関しては,要確認.

*1:衆議院HP(組織・制度国会提出法案第177回 通常国会)「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案

*2:内閣府HP(組織・制度国会提出法案第177回 通常国会)「地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」5〜10頁

*3:片山善博『日本を診る』(岩波書店,2010年)190頁

日本を診る

日本を診る

*4:金井利之『実践自治行政学』(第一法規,2010年)23頁

*5:長谷部恭男「続・Interactive憲法--B准教授の生活と意見 第17回 連邦制と地域主権」『法学教室』No.359, 2010年8月号,56頁

法学教室2010年8月号[雑誌]

法学教室2010年8月号[雑誌]

*6:大山礼子『日本の国会』(岩波書店,2011年)90頁

日本の国会――審議する立法府へ (岩波新書)

日本の国会――審議する立法府へ (岩波新書)

*7:内閣府HP(組織・制度国会提出法案第174回 通常国会)「地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」5〜10頁