篠山市は4日、市役所第2庁舎1階に「ふくし総合相談窓口」を開設した。高齢者や障害者のケア、経済的困窮の支援など、市民の相談を聞いて担当課を紹介する。「経済的困窮と児童虐待」など、問題が重複している場合は関係部署を集めて調整も行う。市地域福祉課は「どこに相談すればいいか分からないときは声を掛けて」と話している。
 同課が2009年10月、市民や民生委員ら計2千人にアンケートしたところ、「何でも相談できる窓口」の設置を求める声が多かった。また、近年は「障害者の子どもと高齢の親」「経済的な困窮と虐待」など、問題が絡み合っているケースが多く、各担当職員の連携も不可欠になっている。相談窓口は、主任ケアマネジャー、社会福祉主事保健師の3人が担当する。例えば、認知症の高齢者を介護する家族が経済的に困窮している場合、市営住宅を担当する地域整備課、介護保険のアドバイスを行う医療保険課、外部の医療関係者らを集めて問題解決に当たる。必要と判断したときには連携調整会議も開く。
 一方、地域の民生委員や福祉サービス事業者、ケアマネジャーらの相談にも乗り、外部の専門家との橋渡し役も担う。窓口を担当する同課高齢支援係の松本ゆかり係長は「これまでは職員が自分自身の人脈を使って多くの職員、関係者と連絡を取り、問題に対処してきた。相談窓口の開設で関係部署の連携がスムーズになり、市民の要望に市全体で応じる態勢が整った」としている。(敏蔭潤子)

本記事では,篠山市において「ふくし総合相談窓口」を開設されたことを紹介.同窓口開設の様子は,同市HP内の「篠山市長日記」を参照*1.「2011年7月4日(月)」付の記録を拝読させて頂くと,「高齢者,障がい者,生活困窮者などの支援や相談など,どこに相談すればわからない時など,何でも相談できる窓口」として設置されたことが分かる.
勿論,「役所の管轄を頭に入れて」*2おくことで,「「たらい回し」に合う可能性は軽減」*3できる.そのため,訪問される側もまた「役所における部署の交通整理ができる能力を身につけることも重要」*4ではあることは確かなところ.ただ,事前に「頭に入れて」おいても,やはり,実際に庁舎を訪問してみると,「不慣れな環境において目的地を探す行動である」「ウエイ ファインディング(way finding)」*5の負荷があることも確か.つまりは,「個々の住民に対しては,完全に分立・縦割で接触することとなる」「ピラミッド型組織は,首長にとっては便利ではあるが,住民にとっては不便」*6ともなる.
本記事を拝読させて頂くと同市の「相談窓口」では「主任ケアマネジャー,社会福祉主事保健師の3人が担当」され「問題が重複している場合は関係部署を集めて調整」されるともある.なるほど.ただ,その調整は,同窓口が設置されている「保健福祉部」を超えた「異なる位相」との「往還」*7もまた,同窓口でも行われるのだろうか,これもまた興味深いところ,要確認.

*1:篠山市HP「篠山市長日記

*2:結城康博『福祉という名の「お役所仕事」』(書籍工房早山,2010年)61頁

福祉という名の「お役所しごと」

福祉という名の「お役所しごと」

*3:前掲注2・結城康博2010年:70頁

*4:前掲注2・結城康博2010年:71頁

*5:西出和彦『建築計画の基礎』(数理工学社,2009年)122頁

*6:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『改訂版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2011年)183頁

ホーンブック 地方自治

ホーンブック 地方自治

*7:松井望「石原都政下の組織編成と人事政策」『都市問題』Vol.102,2011年6月,84頁