市川市は9日、一般行政職の来年度採用について試験合格者の約55%が採用を辞退したことを明らかにした。大半が他の自治体に流れたという。必要な人数を確保できなくなり、28人程度の2次募集を行い現在選考を進めている。
 石原よしのり議員(民主・連合)の一般質問に答えた。同市によると、今回は77人の募集枠に対して2712人が応募。6〜8月に筆記や面接など3次の試験を行い、8月中旬、81人に合格を、34人に補欠合格をそれぞれ通知した。ところが、その後に合格辞退が相次ぎ、現在までに合格者と補欠合格者の計115人のうち、約55・7%に当たる64人が辞退を申し出た。市が理由を聞いたところ、東京23区を選んだケースが多かった。
 昨年も合格辞退が51人中28人と半数超え。うち建築関係では合格6人全員が辞退して2次募集を余儀なくされた。同市は一昨年まで10月に合格の最終発表をしてきたが、他の自治体に先に受かり同市の試験を途中で辞退するケースが多かったため、優秀な人材の確保に向け昨年から試験時期を前倒しして、発表を他の自治体より早い8月に設定。この結果、試験途中での辞退は減ったが、後に受かった自治体に流れ、辞退者数が急増したという。

本記事では,市川市における職員採用の取組を紹介.2010年4月13日付の本備忘録にて記録した,「年齢・学歴制限撤廃」区分という一つの募集区分による職員採用から,「年齢・学歴制限撤廃」区分と非「年齢・学歴制限撤廃」区分(つまり,「年齢・学歴制限」区分ですが)の二つの募集区分での採用試験を実施されている同市.
「職員採用試験の実施状況および実施結果」を拝見させて頂くと,6月から8月の間で実施された「一般行政職」*1の採用試験では,「年齢・学歴制限撤廃」区分では,まず「事務」職では「10名程度」の募集に対して「7名」が合格,「土木」職は「5名程度」に対して「3名」,「建築」職は「2名程度」に対して「2名」,「電気」職も「2名程度」の募集に対して「1名」,「機械」職は「1名程度」を募集されるものの「0名」,「化学」職は「3名程度」に対して「3名」が合格されている.
方や,「年齢・学歴制限」区分では,「事務」職は「40名程度」の募集に対して「48名」の合格者,「土木」職は「6名程度」に対して「8名」,「建築」職は「2名程度」を募集されるものの,「程度」の範囲内か,1名多く「3名」の合格,「電気」職は「2名程度」に対して「1名」,「機械」は「1名程度」に対して,1名多く「3名」の合格,「化学」職は「3名程度」の募集に対して「3名」*2が合格されている.
勿論,「年齢・学歴制限撤廃」区分と「年齢・学歴制限」区分の間では,各々募集と選考と合格の判定が行われているものの,例えば,「機械」職のように「年齢・学歴制限撤廃」区分では合格者が「0名」とされたものの,「年齢・学歴制限」区分では募集数よりもお一人多く合格という結果もある.これらは,区分は異なれども,職は同一として,募集状況に応じて異なる区分間での合格者間での相互調整にも配慮されているのだろうか.要確認(とはいえ,「建築」職は「年齢・学歴制限撤廃」区分では募集定員通り,方や「年齢・学歴制限」区分では1名多い結果ですので,相互調整は特段ないとも考えられそうですが).
本記事を拝読させて頂くと,「約55・7%に当たる64人が辞退を申し出」ており,その理由を同市が辞退者に確認したところでは「東京23区を選んだケースが多かった」という.なるほど,まさに,「採用機関」「間」での「人材獲得競争」*3の状態にあるとも整理ができそうな状況.同競争環境下にある自治体間では,まさに,2010年8月11日付同年10月3日付同年12月10日付同年12月29日付2011年1月31日付同年7月13日付同年12月2日付の各本備忘録で記録した,合格数者数と採用者数との間で生じる「ディレンマ」*4のなかで,採用試験を行わざるを得ない.
同状況を受けて,同市では,「年齢・学歴制限撤廃」区分では,「土木」職を「3名程度」,「電気」職を「1名程度」,「事務」職を「16名程度」,方や,「年齢・学歴制限」区分では,「土木」職を「6名程度」,「電気」職を「2名程度」の2区分3職種で28名程度の「2次募集」*5を実施.ただ,「年齢・学歴制限」区分のうち「事務」職の募集が行われていない.これは,同区分の同職に関しては,辞退される合格者は限定的であったのだろうか.要確認.

*1:市川市HP(市政情報市政の運営人事・職員)「平成23年度職員採用試験案内(一般行政職)

*2:市川市HP(市政情報市政の運営人事・職員)「職員採用試験の実施状況および実施結果

*3:大原瞠『公務員試験のカラクリ』(光文社,2011年)165頁

公務員試験のカラクリ (光文社新書)

公務員試験のカラクリ (光文社新書)

*4:手塚洋輔『戦後行政の構造とディレンマ』(藤原書店,2010年)24頁

戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷

戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷

*5:市川市HP(市政情報市政の運営人事・職員)「平成23年度職員採用試験案内(一般行政職)2次募集