千葉県は、行政不服申し立て件数の増加に対応するため、法曹経験者を任期付きで初めて採用する。行政不服審査・訴訟事務の処理、指導監理のほか、庁内各課からの法律相談、訴訟担当職員の育成にあたる。
 県政策法務課によると、県が抱える行政不服審査請求・異議申し立て案件は、本年度当初時点で約400件。新規発生件数は、2007年度81件だったのが、08年度に150件に急増、その後も毎年100件を超す高水準で推移している。福祉手当の制度改正に伴い、生活保護を取り消されたり、子ども手当などの制度周知不足が原因で受給開始時期が遅れたことに対し、不服を申し立てるケースが増えている。行政不服審査請求などの処理は、これまで県職員や法科大学院卒の嘱託職員が担当していたが、処理能力が追い付かないため、実務経験のある専門家を採用する。

本記事では,千葉県における組織内弁護士の配置の取組を紹介.
本備忘録では,2010年2月26日付の本備忘録瀬戸内市同年7月1日付の本備忘録の神奈川県,同年9月4日付の本備忘録流山市2011年2月16日付及び同年3月31日付の両本備忘録の福岡市,同年11月3日付の本備忘録池田市同年12月1日付の本備忘録栃木市和歌山市,そして,同年12月21日付の本備忘録明石市と,本備忘録内の観察記録だけでも,9件目となる同取組.同県の同取組の詳細は,同県HPを参照*1
同県は,「3年」間の任期附職員として,「1名」募集.同職の募集期間は,「平成24年1月26日(木)から平成24年2月10日(金)まで」の15日間.「採用分野」は「行政不服審査・訟務」.その職位は「副主幹級」*2として募集. 同職位は,同県の「職制の基本ライン」からすれば,「部長―次長―課長―副課長・室長―副主幹―主査―副主査―主任主事―主事」*3と9つの職位中5つ目に位置し,「特命事項を担当する非管理職の役付職員」に該当される,という.そのためか,同職の応募資格では,法曹有資格者であれば採用されるわけではなく,「法曹有資格者(司法試験に合格し,司法修習を終えた者)で判事,検事又は弁護士として2年以上の実務経験を有すること」を条件に置いている.同職は,主な職務は4つあり,「行政不服審査案件の処理及び指導監理」,「訟務事務の処理及び指導監理」,「庁内各課からの法律相談への対応」,「訟務を担当する職員の育成」となる.待遇は,「給料月額」が「424,000円」となり,同額に加えて,「地域手当(給料月額の7%),通勤手当,期末手当等がそれぞれの支給要件に応じて支給」される.また,「勤務時間・休暇」は,「1週につき38時間45分」「1日7時間45分」で「週休2日制」と常勤となる.そのため,「有給休暇」も「年次休暇」が「4月採用の場合」に「当該年度で20日」,「結婚,忌引等」の「特別休暇」もある.
選考手続は,まずは,「応募書」「業務経歴書」,「司法修習を修了していることを証明する書類」「弁護士身分証明書等の写し」とともに,「行政不服審査制度について」をテーマとする「2,000字以内で論述」した「論文」の提出を求められている.「平成24年2月下旬」に「第1次選考」を「書類審査」で行い,次いで,「第2次選考」を「面接試験」と「身体検査」を,「平成24年3月上旬」に実施される予定.上記の「業務経歴書」には,「今回応募する分野に関連した業務について,詳細に
記載」*4も求め,その経験度に重きを置いている.ただ,同職の応募資格のうち,例えば,実務経験が「2年」の方が応募された場合,学としての「行政法に明るい弁護士」*5の方の可能性はあるとしても,「行政不服審査・訟務」に「関連した業務」を経験された「行政実務にも明るい」方となると,実際にどれくらいの応募があるのだろうか.要観察.

*1:千葉県HP(県政情報職員採用その他の求人情報任期付職員の公募について)「千葉県職員(特定任期付職員)採用選考案内」(平成24年1月,千葉県)

*2:前掲注1・千葉県(千葉県職員(特定任期付職員)採用選考案内)1頁

*3:前掲注1・千葉県(千葉県職員(特定任期付職員)採用選考案内)2頁

*4:前掲注1・千葉県(千葉県職員(特定任期付職員)採用選考案内)1頁

*5:鈴木潔「行政事件訴訟法と訴訟法務」『自治政策法務』(有斐閣,2011年)267頁

自治体政策法務 -- 地域特性に適合した法環境の創造

自治体政策法務 -- 地域特性に適合した法環境の創造