離婚した夫婦間の子供の面会を巡る紛争が増加している中、都は7日、家裁調査官OBらの専門家が双方の間に立って子供との面会の調整に当たる全国初の無料支援事業を始めた。
 全国の年間離婚件数は02年の約29万件をピークに減少傾向にあるが、司法統計年報によると、家裁に持ち込まれた面会交流に関する調停は09年に過去最高の6924件に達した。調停が成立したのは約半数で、離婚の約9割を占める家裁が関与しない協議離婚を含めれば、子供の面会の取り決めをしていないまま別れる夫婦は多い。このため4月から民法が改正され、未成年の子がいる場合、面会や養育費の分担について取り決めをしているかを確認するチェック欄が、離婚届の用紙に設けられた。民法改正を受けて始まる都の支援事業は、相談員が子供と同居している親、同居していない親の双方と面談し、面会頻度などの条件を調整したうえで、面会場所や日時を決める。「子供に会いたいが離婚相手には会いたくない」という場合は、相談員が子供を連れて行くという。

本記事では,東京都における離婚後のこどもと親との面接交流の取組を紹介.同取組に関しては,同都HPを参照*1
従来「家庭裁判所の調停・審判」*2に基づき実施されてきた面会交流は民法の明文上は規定されていなかったものの,2011年5月の民法改正により,「父母が協議上の離婚をするとき」は,「子の監護すべき者は,父又は母と子との面会及びその他の交流」等の「必要な事項は,その協議で定める」*3と同法第756条に設けられ,2012年4月より施行されている.
同都では,同法改正に伴い,同事業を実施.具体的には,「東京都ひとり親家庭支援センター」*4が窓口となり面会交流への支援を実施.具体的には,子と同居する親,同居をしていない「親双方と面談を行い,面会交流についての考え方や条件を調整」,そして,「調整」が整った場合,「実際の面会交流の実施場所,日時,実施方法」を決定.その後「実際の面会交流に立ち会」*5うことになる.なるほど.「家族の多様化」への「対処」*6もまた,「生活管理機能」*7を担う自治体行政の役割なのだろう.興味深い.

*1:東京都HP(各局のページ福祉保健局子供家庭ひとり親家庭支援面会交流支援)「離婚後のお子さんと親の交流を支援します

*2:法務省HP(法務省の概要各組織の説明内部部局民事局民事に関する法令の立案関係親子の面会交流を実現するための制度等に関する調査研究報告書の公表について)「親子の面会交流を実現するための制度等に関する調査研究報告書」(平成23年2月)1頁

*3:法務省HP(所管法令等国会提出法案など国会提出主要法案第177回国会(常会)民法等の一部を改正する法律案)「民法等の一部を改正する法律案新旧対象条文」1頁

*4:東京都HP(各局のページ福祉保健局子供家庭相談窓口)「東京都ひとり親家庭支援センター はあと

*5:前傾注1・東京都(離婚後のお子さんと親の交流を支援します)

*6:大村敦志民法改正を考える』(岩波書店,2011年)61頁

民法改正を考える (岩波新書)

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*7:西尾隆『現代行政学』(放送大学教育振興会,2012年)34頁

現代行政学 (放送大学教材)

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