宗像市は今年度の職員採用試験から「元気な職員枠」(2人程度)を新設する。民間企業、文化、スポーツなどで優れた業績を持つ個性的な即戦力の人材を求めるのが狙い。教養試験を廃止し、自己PRと適性試験で選考する。市人事課は「まちづくりに若い力を貸してほしい」と話している。
 受験資格は78年4月2日〜95年4月1日生まれ。企業や市民活動、芸術などの豊富な経験や知識を生かせる人。今年度は▽観光振興▽各種メディアを通じたPR・プロモーション活動▽各種プロジェクトの実施▽市民・ボランティア活動−−での実績と高い企画力を持った人材に絞る。受験者は経験や業績などを具体的にまとめた「元気PRシート」を提出。1次試験で書類審査と職務への適応性をみる適性検査を受ける。2次試験は数分間の「プレゼンテーション」で自己を売り込む。市は、昨年まで社会人枠(5年以上の勤務経験者)を設け、一般枠と同様に教養試験を課していた。市人事課は「公務員試験は専門学校での特別な対策が必要というイメージを一掃し、人物重視にした」と話している。

本記事では,宗像市における職員採用の取組を紹介.
「一般行政」職の採用において,「民間企業での顕著な業績や市民活動・文化芸術・スポーツ等の活動で培われた高い特性を持つ人材を採用」を目的,新たに「元気な職員枠」*1を設置.「元気な職員」という職員像の概念は,ユニークそう.同概念を具体的に同市では,「民間企業等の職務経験を活かして宗像市のまちづくりに貢献できる人」や「長期にわたり市民活動・ボランティア活動等を行い,当該分野の知識・経験を活かして宗像市のまちづくりに貢献できる人」,または「文化芸術・スポーツ等の分野で顕著な成績を残し,元気でチャレンジ精神をもって宗像市のまちづくりに貢献できる人」を「元気な職員」を想定されている模様.加えて,2012年度では「特に」,「観光の振興に経験・業績等を持つ人材」「各種メディアを通じたPR・プロモーション活動で経験・業績等を持つ人材」,「高い企画力を持ち、各種プロジェクトを実施した経験・業績等を持つ人材」,そして,2012年7月15日付の本備忘録にて記録した水戸市における職員採用枠の設置の取組と同様に,「市民活動・ボランティア活動の団体で中心的な役割を果たし,行政等と連携しながら,地域やまちを活性化した経験・実績等を持つ人材」のいずれかの「経験・業績等を持つ人材」*2が期待されており,概括例示的なゆとりのある職員像とも整理ができそう.興味深い.
「試験内容」は,本記事でも紹介されているように,「第1次試験」が「元気PRシートとともに,職務への適応性をみる」「書類・適性試験」の実施.「第2次試験」では「経験・業績等についてプレゼンテーション方式により行う」「プレゼンテーション」,「第3次試験」「第4次試験」は他の職務区分と同様に「面接試験」*3が行われる.第1次試験で用いられる「元気PRシート」を拝見させて頂くと,「PR事項を簡潔に20字以内」でまずは「まとめ」,次いで,「PR事項の内容を具体的に800字以内で記載」,そして,「PR事項を宗像市のまちづくりにどのように活かしていくか」を「800字以内で記載」し,「その他,PR事項についてPRしたいことを800字以内で記載」することになる.採用方式もまた,試験という限定列挙的な能力(メリット)の把握を選択されることなく,エントリーシート的なフォームにもとづく,ゆとりがある概括例示的な能力(メリット)把握としても「人材獲得競争」*4に対応されている模様.今後の募集状況は要観察.

*1:宗像市HP(市内にお住まいの方各課のページ)「人事課

*2:前掲注1・宗像市(人事課)

*3:前掲注1・宗像市(人事課)

*4:大原瞠『公務員試験のカラクリ』(光文社,2011年)165頁

公務員試験のカラクリ (光文社新書)

公務員試験のカラクリ (光文社新書)