野田佳彦首相と関係閣僚、全国知事会など地方5団体の代表は30日、首相官邸で「国と地方の協議の場」の会合を開いた。山田啓二知事会長は、特例公債法案の成立の遅れで国の予算執行が危ぶまれていることについて、「財政力の弱い市町村もあるため、地方交付税の配分に悪影響が出ないようにしてほしい」と配慮を求めた。
 これに対し安住淳財務相は、法案が成立しない場合、市町村に配慮しつつも、地方交付税も予算執行の抑制対象になり得るとの考えを示した。川端達夫総務相は「地方側に十分配慮したい」と応じた。

本記事では,「国と地方の協議の場」の開催内容を紹介.
2012年4月19日付の本備忘録で記録した,2012年度に開催された同場は,臨時会として開催.2012年度の定例会としての開催は,今回が第1回目.協議事項,国と地方それぞれからの提出資料は,同場第1回のHPを参照*1
同回の同会では,「17時10分」から「17時45分」の35分間で開催.「社会保障制度改革への地方の意見の反映について」「地域の経済・雇用対策について」「地域主権推進大綱について」の3項目を「協議」*2
方や,2012年8月31日付の同通信による配信記事にもあるように,同場の翌日である2012年8月31日に開催された閣議では,「9月以降の一般会計予算の執行について」*3の発言があり,これにより「予算の執行を抑制する方針」が「確認」され,「地方交付税」に関しては「9月4日に予定される4兆円強の支払いをひとまず延期」として,「約2.1兆円の道府県向け支給額を3分の1に圧縮」し「1.4兆円程度の支出を法案成立後に先送りする方向」*4とある.
そのためか,同場に関する報道もまた,例えば,2012年8月30日付の読売新聞*5日本経済新聞*6のように,上記の各協議事項の内容よりも,地方交付税の配分に対する「地方」側の見解に関する報道が多い模様.予算抑制に関して同回の同場でどの程度協議が図られたかは,現在のところ「国会報告」「議事録」は掲載されていないため,判然とはしないものの,同場の運用が,国からの「意思表明の回路」*7として用いられており,結果「全体レベル協同主義の本丸に地方団体が参画できていない」ことから「自治体側が参加しても益は乏しい」*8場と運用されつつあるようにも写らなくもない.実際の協議内容は,どのよう図られたのだろうか.公表後,要確認.

*1:内閣官房HP(政策課題各種本部・会議等の活動情報国と地方の協議の場)「国と地方の協議の場(平成24年8月30日(木)

*2:前掲注1・内閣官房(国と地方の協議の場(平成24年8月30日(木))

*3:首相官邸HP(記者会見内閣官房長官記者会見平成24年8月)「平成24年8月31日(金)午前

*4:時事通信(2012年8月31日付)「地方交付税、道府県は3分の1に=財源枯渇で、支出先送り−政府

*5:読売新聞(2012年8月30日付)「地方交付税の執行抑制も…財務相、地方側に表明

*6:日本経済新聞(2012年8月30日付)「予算執行抑制、交付税への波及懸念 全国知事会長

*7:金井利之「「国と地方の協議の場」の成立と蹉跌」森田朗・田口一博・金井利之編著『分権改革の動態』(東京大学出版会,2008年)99頁

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

分権改革の動態 (政治空間の変容と政策革新)

*8:金井利之「国政における「国と地方の協議の場」の機能と展望」『市政』2012年8月号,19頁(全国市長会HPから,同誌は拝読させて頂くことができ,大変便利ですね)