県議会は25日、県の総合計画の策定や改定、廃止に議決が必要とする「県基本計画議決条例案」を開会中の9月定例県議会に提出することを決めた。議会の関与を強めることで民意の反映や監視、政策立案機能などを充実させる目的。同日、県議会の議会改革推進委員会から最終報告があり、各派代表者会議で決定した。
 条例は、県政全般にかかる政策施策の基本的な方向について、総合的・体系的に定める計画(総合計画)が適用される。県は総合計画の策定作業に着手する前に県議会に情報を提供し、計画の素案や中間案なども報告する。議会は集中審議などで意見・提言をとりまとめ、計画の最終案に反映できるように知事に提出する。
 今議会での可決を経て、来年4月から施行される。10年10月に県が10年後を展望して策定した「ひろしま未来チャレンジビジョン」は議決された計画とみなし、変更や廃止をする場合には、条例を適用して議決が必要となる。【寺岡俊】

本記事では,広島県議会における「県基本計画議決条例案」の提出方針を紹介.同条例案に関しては,現在のところ,同県議会HPでは確認できず,残念.
条例案の名称からは,「県政全般にかかる政策施策の基本的な方向」に関する「総合的・体系的に定める計画(総合計画)」を対象に,地方自治法第96条第2項に基づき「議決」として追加する条例案とも窺えそう.しかし,本記事を拝読させて頂くと,「総合計画の策定作業に着手する前に県議会に情報を提供」すること,そして,「計画の素案や中間案なども報告する」ことも規定される方針の模様.これにより「議会は集中審議などで意見・提言をとりまとめ」,「計画の最終案に反映できるように知事に提出」する手順を企図された条例案であることを紹介.
仮に,本記事で紹介されているように,同条例案の制定により「議会の関与を強める」ことを目的とされるのであれば,まずは,「広島県議会の議決すべき事件に関する条例」*1へ,「総合的・体系的に定める計画(総合計画)」案を議決するように追加修正し,議決に当たる審議段階で,大小問わず修正を図り,最終的に議決する手順でも適当とは考えられなくもない.
また,同県が制定されている「広島県議会基本条例」の第13条第1項では,「議会は,知事等が予算編成方針を定め,若しくは予算を調製したとき又は県政に係る基本計画等の重要な政策若しくは施策について,基本方針,素案その他これらに類するものを作成し,若しくは変更したときは,知事等に対し,その内容の説明を求め、政策提言等を行うものとする」*2との規定もある.そのため,現状からは「県政に係る基本計画等の重要な政策若しくは施策」としての「総合的・体系的に定める計画(総合計画)」が「作成し,若しくは変更したとき」には,執行部側への説明要求と政策提言は,同条例に基づき保障されているとも理解できなくもない.
ただ仮に,同県議会基本条例がいう「作成し,若しくは変更したとき」との規定が,執行部による案が,作成後の時点との理解が示されているとすれば,執行部側での作成過程でも,「その内容の説明を求め、政策提言等を行う」ことを規定する条例案となるのだろうか.その場合,なるほどまさに計画とは,「計画書(プラン)よりも計画策定の政治過程(プランニング)のうちに計画の本質は宿る」*3ものと理解が示されているようでもある.実際の条例案の内容は,要確認.

*1:広島県HP(広島県法規集)「広島県議会の議決すべき事件に関する条例」(昭和二十四年八月二十五日条例第四十二号)

*2:広島県HP(広島県法規集)「広島県議会基本条例」(平成二十二年十二月二十七日条例第四十五号)

*3:西尾隆『現代行政学』(放送大学教育振興会,2012年)195頁

現代行政学 (放送大学教材)

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