職員の不祥事が相次ぐ福岡市は来月1日、再発防止のため「職場活性化等推進担当課」を人事部に新設する。課長以下3人で構成し、働きやすい職場環境作りを目指す。
 同課は、不祥事の原因は個人のモラルだけでないとして、人員削減による業務量の増加▽職員の士気の低下▽コミュニケーション不足−−などについて庁内を回って意見を聴き、対策を検討する。更に行動規範に関する職員憲章の策定や、行政監理課と人事課が担っていたコンプライアンス(法令順守)と服務についても引き継ぐ。
 市では今年に入って消防局職員の窃盗など飲酒絡みの不祥事が続発。5月に高島宗一郎市長が全職員に自宅外での1カ月禁酒を求める「禁酒令」を出し、懲戒処分の基準も厳しくしたが、その後も港湾局職員による盗撮事件など不祥事が続いた。金口浩治人事課長は「厳罰化だけでなく、職員が関わり合って仕事に集中できれば、防げる不祥事もあるはず。年度内に一定の施策を示したい」としている。【関東晋慈】

本記事では,福岡市における「職場活性化等推進担当課」の設置方針を紹介.
2012年6月19日に開催された同市市長会見にて公表された「懲戒処分の指針の厳格化」の方針.同方針では,「政令市で最も厳しい基準」としての「公務外非行の厳罰化」,「政令市で初」となる「飲酒に伴う非違行為の厳罰化」,そして,「不適正な指導監督の事例を明確」にすることで「実情に応じた処分を行う」こと,そして「部下職員に不祥事を起こさせない指導監督の徹底」を図るための「監督責任の明確化」*1の3つの項目から構成.同年7月3日に開催された同市の庁議では「不祥事再発防止のための取り組み」という工程表も提示.各局・各課での「職場一斉研修」の開催と基本的には「階層別研修の充実」が図られるとともに,全庁的にも個々の職員の「パソコン」への「ログインメッセージ」や「トップからのメッセージ」が常時・定期的に伝えることや「「福岡市職員憲章」の制定」が進めれている.
また,同工程表では「職場環境の改善」も明記.これにより,「「風通しのよい」「モチベーションの上がる」職場づくりを検討」*2されてきた模様.なるほど,「懲戒処分の指針の厳格化」の副次的な効果としても考えられる,不祥事発生という危機を回避しようとして「必要最小限の仕事だけをしようと考え」*3からの日常業務の萎縮化の回避も想定されているだろうか.同課設置に関しては,現在のところ,同市HPでは確認できないものの,同課の設置後の活動は,要確認.

*1:福岡市HP(市長のオフィス市長会見市長会見平成24年6月19日)「懲戒処分の指針の厳格化」(市長定例会見資料,平成24年6月19日)

*2:福岡市HP(市政情報・市民参加市政の運営、方針・プラン市政の運営庁議資料平成24年7月3日 庁議資料)「不祥事再発防止のための取り組み

*3:真渕勝『行政学』(有斐閣,2009年)499頁

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