新景観政策に基づく屋外広告物の規制強化に向けて京都市は10月から、市内全域で巡回指導する「ローラー作戦」をスタートさせる。指導に当たる非常勤嘱託職員を新たに52人採用し、条例の基準に合わない違反広告物の取り締まりを強化し、京都の町並みにふさわしいデザインに誘導していく
■指導職員52人増 10月から
 市は非常勤嘱託職員の増員に3800万円を9月市議会に提出した本年度一般会計補正予算案に計上しており、11月までに非常勤嘱託職員と市職員を含めて約60人の巡回体制を組む。2人1組となって担当地域の店舗や事業所を巡回し、一定規模の広告物に必要な設置許可の有無を確認したり、基準に合っていない広告物の撤去や改修を求める。是正までに猶予を与える経過措置が終わる2014年8月まで続ける。
 07年9月に改正した条例で、建築物の屋上広告物と点滅式、可動式照明を用いた屋外広告物を全面的に禁止したほか、市内を21地域に分けて看板の大きさや色彩などの基準を設定。広告物の是正に7年間の経過措置を設けたが、現在、約2万8千カ所の屋外広告物が基準に違反すると推計している。市はローラー作戦に合わせ、事業者が違反看板を除却、改修する場合の費用を支援する低利融資制度の創設も予定している。市市街地景観課は「歴史的な町並みにふさわしい都市景観となるよう、事業者に粘り強く理解を求めていきたい」としている。

本記事では,京都市における屋外広告物規制の取組を紹介.
2012年5月17日付の本備忘録では,屋外広告物への「ローラー作戦」の実施方針を記録.そして,2012年6月6日に開催された同市長記者会見では「ローラー作戦は,10月から入り,数十名の京都市職員を重点配置しまして,全力を挙げていきたい」*1との予定が提示されている.
本記事では,同記者会見後での,2012年10月から実施される具体的な体制を紹介.同市HPでは,現在のところ同体制の詳細は掲載されていない模様.本記事を拝読させて頂くと,「非常勤嘱託職員と市職員を含めて約60人の巡回体制」となり,「2人1組」で「担当地域の店舗や事業所を巡回」,「一定規模の広告物に必要な設置許可の有無を確認」するとともに「基準に合っていない広告物の撤去や改修を求める」ことを「2014年8月まで」実施される,という.巡回と確認後の「実際の効果」*2は,巡回等後に即時に現れることになるのか,または,「猶予期間」の終了間際となるのだろうか.実施過程も要確認.

*1:京都市HP(市の組織総合企画局各課の窓口広報担当市長記者会見)「門川市長記者会見(2012年6月6日)

*2:金田章裕『文化的景観』(日本経済新聞社,2012年)199頁

文化的景観―生活となりわいの物語

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