岐阜県は18日、来年度当初予算の編成に当たり、各部局が11月に財政課に行う予算要求の基準を明らかにした。原則として、各課1事業以上はスクラップアンドビルド(廃止と新規事業の立ち上げ)を行うことを求めた。事業廃止のみでも認める。事業の固定化を防ぎ、時代のニーズに合った予算に組み替える狙い。同様の原則を掲げるのは平成になってからは初めて。
 本年度当初予算編成でも同趣旨の狙いから、廃止する事業費の10%を上乗せして新規事業費などを要求できる仕組みを導入したが、利用した要求は5事業にとどまったため、新規事業への上乗せはやめて「原則1事業以上」と具体的な目標を課すことにした。
 このほか、予算編成の透明度を高めるため事業の目標や成果などを数値で定量化して要求することも求めた。当初予算編成の基本方針では�持続可能な財政運営に向けた財政規律の順守�直面する重要な政策課題への的確な対応―を挙げた。行財政改革アクションプランは本年度末で終了するが同プランで見直した事業は原則、取り組みを継続して歳出が膨らむのを抑制。重要な政策課題として防災や減災対策、少子高齢化対策、経済雇用対策などを例示し、これらに対応する新規事業については各部局の予算枠を超えて要求できるようにした。

本記事では,岐阜県における予算編成基準を紹介.同基準に関しては,同県の「平成25年度当初予算編成方針」*1を参照.
「事業の固定化を防止」するとともに「新陳代謝を促進」する観点から,「原則として1所属(各課室)1事業以上」を「スクラップアンドビルド(単なる事業の廃止を含む.)」*2ことを明記.これにより,「歳出キャップルール」*3が2013年度予算編成で採用.ただし,「原則として1所属(各課室)1事業以上」との概括的なキャップは置かれていても,「1所属(各課室)1事業以上」の相当額は明記されていない.そのため,「個別項目」に関しては,各課室へ委任されているようでもある.各課室の裁量的な判断に依存されているのか,または「計画的な(deliberate)*4」裁量的な判断を委ねているのか.今後の各課室からの要求状況は,要経過観察.

*1:岐阜県HP(県政の運営財政・予算・決算予算予算編成過程の公開(平成25年度))「平成25年度当初予算編成方針」

*2:前掲注1・岐阜県(平成25年度当初予算編成方針)3頁

*3:曽我謙悟「予算編成 ―首相主導への変化とその限界―」森田朗・金井利之編著『政策変容と制度設計―政界・省庁再編前後の行政―』(ミネルヴァ書房,2012年)52頁

*4: Huber,John D. and Charles R. Shipan(2002)Deliberate Discretion?: The Institutional Foundations of Bureaucratic Autonomy .CambridgeUP,p.9