東京都知事選と衆院選の影響で、十一月末に始まる都議会が、わずか七日間の「超スピード議会」となる。知事不在、都知事選のまっただ中での開会は史上初で、所信表明は行われない。国政選挙と重なるのも異例で、都議らは気もそぞろ。議案審議や都政のチェック機能が形骸化しそうだ。 (都政取材班)
 「知事がいないなら政策判断ができず、まともな答弁は得られない。質問する意味がない」。自民の野島善司幹事長が指摘する。都議会定例会は年四回ある。今年最後となる第四回定例会は当初、十一月三十日〜十二月十四日の十五日間の予定だった。しかし石原慎太郎前知事の辞職で知事選とぶつかることになり、閉会日を十二月六日に繰り上げた。さらに衆院解散で総選挙が十二月四日公示に決まると、四日の委員会を三日にずらすなど再変更を余儀なくされた。「候補者の出陣式に出席していたら、遠方の都議は委員会に間に合わない」(都議)からだ。
 都議からは「落ち着いて審議できない」という声の一方、来夏の都議選を控え「都への要求や提案で実績をつくりたい」との思惑もある。「議会の華」である一般質問を取りやめる案も出たが、ある都議は「これから四年ごとに知事選はこの時期になる。中止したらあしき前例になる」と反対。結局、質問時間を例年の約半分に縮めた。答弁する都側も、前例のない体制で臨む。知事の職務代理者の猪瀬直樹副知事が二十一日に出馬表明し、事務方は告示日に自動失職するケースを想定している。その場合は、別の副知事が職務代理者に就くことになる。議会側は、石原氏の特別秘書二人が非常勤の専門委員として都庁に残留した問題に、反発を強めている。しかし、肝心の石原氏も、二人を専門委員に任命した猪瀬氏も不在。質問時間が短いこともあり、ある都議は「都政私物化という重大な問題を、ちゃんと議論できない」と憤る。
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 東京都の石原慎太郎前知事の特別秘書二人が非常勤の専門委員として都庁に残留した問題で、都は二人が二十一日付で辞職したと発表した。都によると、二人は辞職理由を明らかにしていない。専門委員に就任した十一月一日からの報酬を辞退しているという。この問題をめぐっては、都議会総務委員会で与野党の委員が「石原氏の都政の私物化だ」と追及。住民監査請求も起きていた。
尖閣基金化案も見送り
 「政治色の強い議案は、十分に説明できない」。尖閣諸島沖縄県石垣市)購入のために集めた寄付金を基金化する条例案や、教育委員の人事案について、都は第四回定例会への提出を見送ることにした。寄付金は十四億七千万円集まったが、石原氏の辞職で宙に浮いている。年度をまたぐと用途が限定されない一般財源に組み込まれてしまう。基金化はこれを避けるためだ。石原氏は、国が漁船待避所などを整備する際に活用する案を示したが、新知事がどのような判断をするかは不透明。担当者は「来年二月の議会に条例案を出せば間に合うので、新しい知事の判断を仰ぐ」と話す。
 教育委員の日本サッカー協会最高顧問川淵三郎氏(75)は、十二月二十四日で任期が切れる。任期途中で辞職した前任者の後を受け、昨年六月に就任。普通なら再任されるところだ。石原氏は歴史認識など自身の考えに沿って教育委員の人選を進めてきた。川淵氏が不在となっても五人の委員が残るが、担当者は「空席期間が長くなるのは好ましくない」と話している。

本記事では,東京都議会における開催日程を紹介.
11月末から12月に開催されている「第4回定例会」.2012年の第四定は,11月30日から12月6日までと「会期7日間」*1で開催されることが公示.1999年以降でも第四定は,第15期にあたる2000年*2,第17期にあたる2005年と2006年*3に「15日間」で開催されたものの,その他の年は「16日間」で開催されている.そのため,2012年の第四定は例年からすれば半分以下での開催日程となる.その日程もまた,12月3日に「常任委員会審査」の日程は組まれてはいるものの,12月1日から12月5日までは「休会(5日)」*4となる.
従来の第四定の日程のように一定の時間を設け,その期間で都政の課題に関して議員間での「自由討議」*5としての運営も考えられなくもないものの,本記事では,「知事不在」「都知事選のまっただ中」であることを踏まえて,同日程に設定されたことを紹介されており,まずは「執行部と議会との質疑」*6を優先された模様.例年の第四定開催日程からすれば,9日分が短縮.知事就任,都知事選終了後の12月17日以降で,9日程分が臨時会として開催されることのになるのだろうか.要確認.

*1:東京都HP(東京都議会本会議・委員会の予定)「平成24年第4回定例会会議予定表

*2:東京都HP(東京都議会過去の開会状況)「第15期の開会状況

*3:東京都HP(東京都議会過去の開会状況)「第17期の開会状況

*4:前掲注1・東京都(平成24年第4回定例会会議予定表)

*5:稲継裕昭『地方自治入門』(有斐閣,2011年)49頁

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

*6:前掲注5・稲継裕昭2011年:49頁