茅野市の牛山英彦教育長は11日の市議会12月定例会一般質問で、縄文文化を生かしたまちづくりを進める「縄文プロジェクト構想」をさらに推進するため、「市職員総学芸員化」に取り組むという考えを明らかにした。縄文文化に関する研修のほか、「尖石縄文検定」を受けてもらうことも検討する。
 縄文プロジェクト構想は、2009年秋に英国の大英博物館で開催された「土偶展」に、同市出土の国宝「縄文のビーナス」と重要文化財仮面の女神」が出品されたことを契機に、世界に通じる縄文文化の価値を見直し、考古学の世界にとどめず、今後のまちづくりに生かしていこうと策定された。この中では、大人から子どもまで全ての市民が、自分たちが住む茅野市に貴重な文化財が多数存在していることを知り、その価値や意義を正しく理解し、世界に発信できる人材を育成する「市民総学芸員化」を目指すとしている。市教育委員会は、その一環として2010年度から「尖石縄文検定」を実施しているが、底辺拡大が課題になっているという。
 牛山教育長は小中学生への取り組みとともに「社会人に対してもいろいろな機会を捉えて受検者の拡大を図っていきたい」と強調。「そのきっかけとして市の職員に研修を行い、市職員総学芸員化の取り組みを始めたい。そうした活動が広まっていく中で市民にも浸透していくと考えている」と述べた。柳平千代一市長は取材に「政策、施策を推進する市職員がまず茅野市縄文文化を理解することは大切なこと」と指摘。検定受検については「強制はできないが、成果を試す機会として面白いのではないか」とした。また、縄文人の精神性や哲学にも及び自らも「難しい」と認める縄文プロジェクト構想について「概要版」の作成を検討する考えも示した。

本記事では,茅野市における「市職員総学芸員化」の取組方針を紹介.
同市では,2010年3月に『縄文プロジェクト構想』*1を策定.同構想では,「市民理解の促進」を目的に,「縄文検定の実施」されており,「市民総学芸員化」*2を目指している.本記事を拝読させていただくと,市民のみならず同「市職員」も「総学芸員化」を目指される模様.
同市の職員が採用されるまでに,「学芸員」資格を取得されていない場合,「学芸員となる資格を有していることを認定するため」に「筆記試験である試験認定」と「これまでの学識及び業績の審査によって資格を認定する審査認定」*3のいずれかがあためて必要ともなる.また,その場合でも,各試験により「四年以上」「六年以上」「八年以上」の「学芸員補」としての職務歴も要件とされており,「学問的に体系化された知識から,経験的技術,あるいは資格や職業の保持」*4が必要ともなる.「総学芸員化」に向けて,総学芸員補化ともなるのだろうか.要確認.

*1:茅野市HP(組織表示教育委員会生涯学習部文化財課縄文プロジェクト構想について)「縄文プロジェクト構想-茅野市民プランのより力強い推進に向けて-」(茅野市茅野市教育委員会,平成22年3月)

*2:前掲注1・茅野市(縄文プロジェクト構想-茅野市民プランのより力強い推進に向けて-)17頁

*3:文部科学省HP(教育公民館、博物館、図書館等社会教育主事・学芸員・司書に関すること学芸員について)「学芸員になるには

*4:藤武・内山融「専門性の政治学に向けて」内山融・伊藤武・岡山裕編著『専門性の政治学』(ミネルヴァ書房,2012年)7頁

専門性の政治学―デモクラシーとの相克と和解 (MINERVA比較政治学叢書)

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