凶悪事件に発展する例もあるのにストーカー規制法が対象としない、電子メールを繰り返し送り付けるつきまとい行為を、条例で独自に取り締まっているのは秋田、新潟、福岡など15府県警にとどまることが3日、共同通信の集計で分かった。
 迷惑防止条例など、摘発のための条例が整備されていない32都道県のうち9県は、条例の改正に否定的だった。規制法改正の見通しがない中、ストーカーに起因する事件を未然防止する体制の不備が浮き彫りになった。ストーカー規制法は2000年に議員立法で成立、施行されたが、その後一度も改正されていない。

 凶悪事件に発展する例もあるのにストーカー規制法が対象としない、電子メールを繰り返し送り付けるつきまとい行為を、条例で独自に取り締まっているのは秋田、新潟、福岡など15府県警にとどまることが、共同通信の集計で分かった。
 摘発のための条例が整備されていない32都道県のうち9県は、迷惑防止条例など条例の改正に否定的だった。規制法改正の見通しがない中、ストーカーに起因する事件を未然防止する体制の不備が浮き彫りになった。ストーカー規制法は2000年に議員立法で成立、施行されたが、その後一度も改正されていない。
 条例により独自取り締まりをしているとした府県警の担当者からは「規制法の“穴埋め”だ」(岐阜、改正条例施行は05年7月)、「迷惑行為の多様化に対処するため」(大分、同11年4月)といった意見が出た。「ストーカー規制法と連動した」とする広島は01年3月の条例施行時に盛り込み、京都は01年4月、栃木は03年4月、福井は06年5月、いずれも同様に対応した。
 一方、昨年11月、ストーカー行為の後に元交際相手が女性デザイナーを殺害する事件があった神奈川など3県警では、条例改正に向け具体的な議論が進んでいる。警視庁や兵庫、鹿児島など13都県警は、議論はないが改正の必要があるとした。岩手、滋賀など9県警は「県民からメールに関する相談がない」(山形)、「メールの文言から刑法で対応する」(愛知)といった理由で改正は必要ないとしており、取り組みに差が出ている。
 ストーカー規制法自民党が昨年11月、大量のメール送信を対象に加える改正案を国会に提出する方針を決めたが、同月の衆院解散で立ち消えになった。これを踏まえ「県をまたがる事案も多い。国主導で一つの法律を定めてほしい」(山口)、「携帯電話を持つ人が多い今の時代なら当然規制すべきだ」(熊本)などの意見もあった。〔共同〕

両記事では,全都道府県における「メール送付ストーカー」への条例対応の現状を紹介.第1記事,第2記事でも紹介されているように,共同通信の集計結果.
第1記事は同社の配信記事,第2記事の日本経済新聞では,「条例により独自取り締まり」を図る15府県と「摘発のための条例が整備されていない32都道県」のぞれぞれの方針と考え方を紹介されている.「メール送付ストーカー」が,ストーカー規制法での「規制が十分ではない領域」として「横出し」*1を図る府県もあれば,同事実は属地主義を常とする条例にあわないとの判断から規制を置かない都道府県もあることが分かる.他都道府県の動向への「相互参照」*2はされつつも睨み合いが続く現状にあるという理解が適切なのだろうか.要確認.

*1:柴田直子「第12章 政策法務と条例」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)240〜241頁

地方自治論入門

地方自治論入門

*2:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),250頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

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