【ニューヨーク=中井大助】ニューヨーク市が導入を決めた砂糖入り飲料の大型サイズの販売規制をめぐり、ニューヨーク州の裁判所は11日、「規制は恣意(しい)的で気まぐれだ」として、無効とする判決を言い渡した。規制は肥満対策の一環として、ブルームバーグ市長の肝いりで12日から始まる予定だったが、当面は実施されないことになる。
 訴訟は、米国飲料協会などの業界団体が起こしていた。判決を受けてブルームバーグ氏は控訴する意向を明らかにし、「命を救うためには、正しいことをしなければならない。肥満は人を殺す」と訴えた。規制はソーダやスポーツドリンク、砂糖入り紅茶やコーヒーなどが対象で、レストランや映画館で16オンス(約473ミリリットル)より大きいカップやペットボトルの販売が禁止され、違反者には200ドル(約1万9千円)の罰金が科される予定だった。判決は、コンビニなどが対象になっていないことや、同じコップに再び注ぐ「おかわり」を禁止していない点を挙げ、「抜け穴が多く、目的が達成されない」と指摘。市議会ではなく、市の保健委員会が決定したのは権限の逸脱で、無効だと判断した。

本記事では,ニューヨーク市における甘味飲料販売規制への反応を紹介.
2012年6月2日付及び同年9月15日付の両本備忘録にて記録した,同市による同規制.同規制に対しては,2012年10月18日付にて記録したように,「飲料協会」や「レストラン協会などの業界団体」から「規制の無効を求め」提訴.本記事では,州裁判所が同規制の実施差し止めとの判決結果を紹介.2013年3月12日付の読売新聞では,同判決の内容を「市当局に法的権限はなく,決定は「独断的で衝動的だ」として無効とする判断」されたことを報道.本記事では,「コンビニなどが対象になっていないこと」,「同じコップに再び注ぐ「おかわり」を禁止していない点」から「抜け穴が多く,目的が達成されない」との考え方も示されていることを紹介.より厳格化すべきという趣旨なにだろうか,「司法的手段」による「統制」*1となるか,「見直しにつなげていく」*2機会となるか,今後の同市の動向は要経過観察(といいますか,『地方自治論入門』の「コラム13」(222頁)は,結局は国を問わず規制的な政策手法導入の難しさを現しているともいえそうで,書き直しが必要になりそうです).

*1:柴田直子「第6章 自治体と国」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)116頁

地方自治論入門

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*2:柴田直子「第12章 政策法務と国」所収・前掲注2:225頁