くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ (幻冬舎新書)

くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ (幻冬舎新書)

本日は,同新書.
ゆるキャラグランプリ2011」で1位となった,熊本県営業部長のくまモンの誕生から下積み生活を経て全国区への飛躍,さらには今後の行く末を描く本書.読むと元気になりました.
くまモンの「成功」要因は,第7章でも「振り返って」みると,「ターゲットを明確にする」「TPOに合ったメディア戦略」「SNSの最大限の活用」「くまモンの爽快な動き・表情の豊かさ」「くまモンを活用した PR・広報へのトップの理解と支援」(223頁)とは整理はされていますが,全体を通読すると,やはり「とりあえず」(137頁)というさまざまな試みを認める組織にもあるのだなあと思いました.チームくまモンを経験された職員さんたちのその後を紹介された次の指摘には,なるほどと思いました.

別の一人は,くまモンの仕事をする前はもともと薬剤師として保健所など規制行政に携わっていました.保健所の規制行政というのは,例えば法律に基づいて飲食店営業の許可を出したり,食中毒が起きたときの営業停止を命じたり,廃棄物の不法投棄を撤去させたりする仕事です.つまり「何かをしてはいけない」と禁止する業務がほとんどでした.ところがくまモンの仕事は,まったく逆です.法律で決められたことではなく,自分の考えで何かを生み出していかなくてはならない.たった二年ではあるものの,チームくまモンを経験してもとの保健所に帰ってみると,以前は「決まりだから,ダメです」とばかり言っていたのが,「どうすればできるようになるか」というポジティブな考え方に変わっていたそうです」(208〜209頁)