東京都の猪瀬直樹知事は二日の定例会見で、正規職員に比べて低い非常勤の都職員の給与を、仕事ぶりに応じて引き上げる考えを示し、担当部署に制度づくりを指示した。
 民間で正規社員の賃上げの動きがあっても非正規社員にまで及んでいない現状から「都が先鞭(せんべん)をつける。全国の非正規雇用者のモチベーションの向上につなげたい」と述べた。都の非常勤職員は、児童相談所の虐待対応協力員や、一時保護した児童のケアに当たる心理職員ら約千四百人。勤務は月十六日以内。任期は一年だが、再任可能なため、十年以上の経験者もいるが、給与月額は標準で十九万四千三百円。

少し前の記事ですが,本記事では,東京都における非常勤職員の報酬制度の改定の取組を紹介.同取組は,2013年5月2日に開催された同都知事記者会見を参照*1(同記者会見にも記録されている知事・記者間での応答に気を取られて,すっかり見落していました).
同記者会見によると,従来「児童相談所の相談員とか,行政実務の第一線で活躍している」非常勤職員の方の「報酬額が,雇用年数にかかわらず、同じ職であれば,同じ報酬額」であったなかで,「すごく低い,非正規の職員の給与は、東京都から先鞭をつけて,なるべく格差がないような形にしていき」,「非常勤職員の中で,経験や業務への習熟度を生かしながら,現場で頑張っている職員の処遇改善」を図ることを目的に「仕事の頑張りに応じて,報酬額を引き下げる,引き上げる制度」の導入を「関係各局に指示」された模様.同制度を通じて,東京都のみならず,「全国の非正規雇用者のモチベーションの向上につなげていきたい」*2ともされている.習熟度に応じた「正規職員と非正規職員との間の賃金格差」*3への対処もまた考えられなくはないものの,興味深い取組.
一方で,2010年4月から「職層区分を三段階から六段階に拡大」*4し「一つひとつの職務とその役割と責任に応じて分類し,報酬月額」*5を定めている荒川区もあり,同区と同都間での「相互参照」*6もあるのだろうか.同制度の「詳しく」*7は,要確認.

*1:東京都HP(知事の部屋記者会見)「猪瀬知事定例記者会見 平成25年5月2日(木曜) 15時01分〜16時07分

*2:前掲注1・東京都(猪瀬知事定例記者会見 平成25年5月2日(木曜) 15時01分〜16時07分)

*3:早川征一郎・松尾孝一『国・地方自治体の非正規職員』(旬報社,2012年)189頁

国・地方自治体の非正規職員

国・地方自治体の非正規職員

*4:上林陽治『非正規職員』(日本評論社,2012年)274頁

非正規公務員 (ヒセイキコウムイン)

非正規公務員 (ヒセイキコウムイン)

*5:前掲注3・上林陽治2012年:276頁

*6:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),250頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

*7:前掲注1・東京都(猪瀬知事定例記者会見 平成25年5月2日(木曜) 15時01分〜16時07分)