政府の第30次地方制度調査会(首相の諮問機関、会長・西尾勝東大名誉教授)は17日、政令市の機能強化を図るため、道府県が担っている市立学校の学級編成権など35事務を政令市へ移すよう求める答申をまとめた。「平成の大合併」で誕生した市町村に対する財政支援強化も打ち出した。近く、安倍晋三首相に提出する。
 総務省は答申に沿って地方自治法などの改正を検討し、来年の通常国会に提出する考えだ。事務移譲は、道府県政令市が同じ事業を進める「二重行政」の解消が狙い。35事務には、▽4ヘクタール以下の農地転用許可▽市街地再開発事業の認可▽市立学校の教職員給与負担−などが含まれている。道府県政令市が公共施設の配置などを連絡調整する協議会の設置も明記した。また答申は、2009年度までに進めた大合併で、面積が広がった市町村が本庁以外に支所などを設けてきめ細かな住民サービスを提供している点を評価。こうした取り組みが安定的に続けられるよう、地方交付税による財政支援の拡充が必要だと指摘した。さらに、人口30万人以上となっている中核市の要件を見直し、特例市など人口20万人以上の市が保健所を設置すれば、中核市昇格を認める方針を示した。

 首相諮問機関の第30次地方制度調査会(会長・西尾勝東大名誉教授)は17日の総会で、市町村が担っている高齢者福祉などの住民サービスを、都道府県が代行できる制度の創設を求める答申をまとめた。人口減少が進むと、過疎地を中心にサービス維持が困難になることが予想されるため、都道府県の支援が必要と判断した。
 総務省は詳細な制度設計を進め、来年の通常国会に関連法案を提出する方針。代行制度を実現し、住民の暮らしの安定につなげる狙いがある。地制調は来週、安倍晋三首相に答申を提出する。

 政府の地方制度調査会(首相の諮問機関)は17日の総会で、大都市制度の見直しの一環として「二重行政」の解消に向け、道府県が担っている事務の政令市への権限移譲などを求めた答申をまとめた。月内にも安倍晋三首相に提出する。総務省は答申の内容を踏まえ、地方自治法などの改正を検討する。
 答申では(1)特例市(人口20万以上)制度の中核市(人口30万以上)制度への統合(2)「合併」「広域連携」「都道府県による補完」などを個々の市町村が選択できる仕組みづくり――なども盛り込んだ。同調査会の西尾勝会長は「大都市が圏域を戦略的に形成し、その上で基礎自治体(市町村)が行政サービスを持続可能とするという一定の方向性が示せた」と話した。

 首相の諮問機関「第30次地方制度調査会」(西尾勝会長)は17日の総会で、大都市制度改革と基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申をまとめた。人口20万人以上の特例市にも30万人以上の中核市と同じく保健所設置などの権限を持たせるよう提案。中核市特例市を統合し、地方分権を加速化させることなどを盛り込んだ。
 大阪府大阪市で問題になった都道府県と政令市の「二重行政」の解消については、都道府県の事務権限の大幅な移譲を提言。現行は都道府県費で負担する教職員給与を政令市に移すことを目玉に据えた。答申案は近く安倍晋三首相に提出される。

本記事では,第30次地方制度調査会における第5回総会の開催と答申の決定に関する各紙の報道内容を紹介(2013年6月18日5:00現在で確認できたもの).現在のところ,同調査会HP*1では同答申は公開されていない模様.答申内容は公開後,要確認.
第1記事は時事通信社による配信記事.同記事では,まずは「政令市の機能強化」と移譲される「35事務」を紹介.次いで合併市町村への「地方交付税による財政支援の拡充」,三つめに「中核市の要件を見直し」を報道している.第2記事は共同通信社.同社の記事では「市町村が担っている」「住民サービスを」「都道府県が代行できる制度の創設」に絞り報道する.第3記事は日本経済新聞社.同社の記事も3つ事項を報道.まずは「政令市への権限移譲」,次いで,「特例市(人口20万以上)制度の中核市(人口30万以上)制度への統合」,三つめに「合併」「広域連携」「都道府県による補完」などを個々の市町村が選択できる仕組みづくり」となる.第4記事は毎日新聞社.同社の記事は2事項,まずは「人口20万人以上の特例市にも30万人以上の中核市と同じく保健所設置などの権限を持たせ」「中核市特例市を統合」すること報道.もう一つは「都道府県の事務権限の大幅な移譲」と「県費で負担する教職員給与」の移管を報道.
総会提出分が確認できないため,2013年6月11日に開催された第36回専門小委員会の配布資料「大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申(案)」を確認すると報道では触れられていない点も多い.例えば,運用上の「努める」べきとの提案や「引き続き検討」事項を除く,制度改正事項だけに絞って挙げてみると,「指定都市と都道府県の協議会」*2や,「区の役割を拡充する方法」として「区の事務所の長(区長)」を「副市長並みに,市長が議会の同意を得て選任する任期4年の特別職とし,任期中の解職や再任も可能とすることを選択できるようにすべき」ことや「条例で,区に教育委員会や区単位の市教育委員会の事務局を置くことを可能にすること」,「市議会内に区選出市議会議員を構成員と」する「一又は複数の区を単位とする常任委員会を置」*3くこと,「現行の地方自治法に定める事務の共同処理の方式のほか,地方公共団体間における柔軟な連携を可能とする仕組みを制度化すべき」*4ことがある.一つの制度改革のなかでも報道対象となるものとならないもの差異は,制度改革にも「伝達的言説」*5に載りうるものとそうではないものがある模様.
第2,第3,第4記事で共通して報道されている「都道府県による補完」*6という「補完機能」*7」の制度改正の提案.「小規模な市町村などで処理が困難な事務が生じた場合」*8をどのように判定するか,やはり「都道府県に当該事務を処理する体制がない場合」*9への都道府県への「補完」をどのように図るか,自体が今後の詳細制度の設計過程は,要経過観察.

*1:総務省HP(組織案内審議会・委員会・会議等)「地方制度調査会

*2:総務省HP(組織案内審議会・委員会・会議等地方制度調査会第30次地方制度調査会第36回専門小委員会)「大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申(案)」8頁

*3:前掲注2・総務省(大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申(案))8頁

*4:前掲注2・総務省(大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申(案))18頁

*5:木寺元『地方分権改革の政治学-制度・アイディア・官僚制』(有斐閣,2012年)37頁

地方分権改革の政治学 --制度・アイディア・官僚制

地方分権改革の政治学 --制度・アイディア・官僚制

*6:前掲注2・総務省(大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申(案))19頁

*7:野田遊「地方政府間関係と自治」真山達志編著『ローカル・ガバメント論』(ミネルヴァ書房,2012年)118頁

ローカル・ガバメント論―地方行政のルネサンス

ローカル・ガバメント論―地方行政のルネサンス

*8:前掲注2・総務省(大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申(案))19頁

*9:前掲注2・総務省(大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申(案))19頁