本日は,大杉覚先生よりご恵与賜りました同書.大杉覚先生,誠にありがとうございました.大杉先生は,「行政学からみた自治イノベーション」(11〜21頁)と題する論攷を寄稿されております.
本書では,「窊章自治イノベーションの実践」では,特に情報通信技術の活用状況を知ることができ,勉強になりました.例えば「ライセンスフリーオープンソース」を利用した多賀城市の被災者管理システムの構築,Facebookによる市民提案制度の整備と運用を開始したつくば市の取組,ご当地アプリを開発した京田辺市と,いずれも導入時のご苦労とともに紹介されています.同章のなかでも下名個人的には川南町の「スマート会議」の取組を興味深く拝読しました.
同町は「2012年5月に武雄市」に「次いで全国2例目となる全職員のフェイスブックアカウント取得と公式フェイスブックの運用を開始」(153頁).庁外のみならず庁内でもFacebookを活用されており,グループ機能を使い「これまでと全く違った方法で会議」(153頁)を開催されています.例えば,クエスチョン機能を用いた日程調整やファイル共有機能による会議資料の共有,既読機能による会議の事前資料の確認,そして,会議終了後での「協議内容や議事録」(157頁)のファイル共有.いずれもFacebookの機能を手堅く用いた会議運営ともいえそうです.
このような「スマート会議」の成果は,「スムーズな会議開催とファイル共有で時間や紙の無駄が省かれた」こと,「事前に会議資料を確認することで建設的な議論が進み,会議か活性化した」こと,「即時性をもって協議内容や議事録などの情報を共有することができる」(158頁)ことを指摘されています.しかしながら,何れの組織でも慣性の如く開催され続けている「ためにする会議はダメにする会議」と常々思う下名は,同取組の最も大きな貢献とはまさに次の指摘ではないだろうかと思い,なるほどと思いました.

わざわざ会議を開くまでもないような協議内容については,グループ内の投稿だけですませるようにもなった.」(158頁)