妹島和世+西沢立衛読本―2013

妹島和世+西沢立衛読本―2013

本日は,同書.『GA JAPAN 122』内の記事(山口真「市役所が町に近づく仕掛け」)を読み,もう少し日立市庁舎のことを知りたくなり,選挙に行く前に講読.
同庁舎案の設計の特徴は,やはり執務棟前に広がる「みんなの広場」.しかし,広場部分とオフィス部分の「二部構成」は「最高に勝ちたかったコンペ」(300頁)ゆえのある意味「大人的というか,戦略的」(305頁)であった,という.そして,「今迄のぼくらのやり方であれば,オフィス棟部分まで解体して「みんなの広場」に統合してしまったと思う」(304頁)との回顧もある.広場が庁舎となる空間を思い浮かべてみると,それもまた魅了されそう.
とはいえ,二部構成となる「みんなの広場」は魅力的.「みんなの広場」の内容が述べられた次の指摘からは,例えば,新設ではなくても他の自治体の庁舎の役割を考えるうえでも,なるほどと思いました.

「みんなの広場」は窓口業務と広場を核とした公共空間で,ルーバーの大屋根が架かり,部分的に外部だったりします.窓口業務の他に,市民が自由に使える多目的ホールや円形劇場,芝生広場,託児所,ATM,コンビニ,会議室等があります.バスが入ってきて乗り降りするロータリーもあります.多目的な場所で,また,用事がなくても人々が集うことができる,公園のような場をめざしています.」(304頁)