札幌市は21日、来年4月に管理者を更新する371の指定管理者導入施設の候補者選定結果を発表した。札幌市時計台など公募10施設で管理者を変更。時計台は1998年から市職員OBでつくる札幌市友会が管理してきたが、初めて住宅管理会社に交代する。
 時計台は、市友会が市の業務委託を受けて管理し、06年度に指定管理者制度が導入されて公募施設となった後も担っていた。今回の選定には、市友会と住宅管理のエムエムエスマンションマネージメントサービス(札幌)が応募。市友会は選定基準のうち文化財保護の観点で上回ったが、管理経費の縮減などで大きく下回った。
 371施設の内訳は、公募が196施設、非公募が175施設。公募施設には延べ80団体が応募し、延べ48団体を選んだ。非公募は延べ66団体が応募し、すべて現在の管理者を引き続き選んだ。指定期間は18年までの4年間。28日開会の定例市議会で市が指定議案を提出する。

本記事では,札幌市における指定管理者制度の取組を紹介.本記事で紹介されている「札幌市時計台」の「選定結果」の詳細は,同市HPを参照*1
「応募団体」は「2団体」*2.同資料によると,選定理由は,「当該施設の管理運営上大きな目的の一つである塔時計の保守管理並びに平等利用の確保,安定して施設の管理運営を担える経営能力と組織体制及び管理経費の縮減の点が優れている」点が「高く評価された」*3とある.
「高い評価」とは具体的にどのような内容であったかを同資料で確認すると,選定の根拠となる評価は6項目で評価されている.まず一つめの「文化財保護」では.60 点満点中,選考された団体が39.67点,非選考の団体が47.00点と,非選考団体が高い.二つめの「平等利用の確保」では,5点満点中,4.33 点と3.67点と選考された団体が高くなる.三つめの「施設の効用発揮」は,70点満点で50.32点と50.34点とほぼ拮抗.四つめの「安定経営能力」を65点で評価した時,50.33点と43.00点と選考された団体が高くなる.五つめの「管理経費の縮減」は40点満点で37.33点と12.00点と,同項目では選考された団体の評価が高い.そして,六つめの「その他」となる20点点で15.67点と27.67点とあり,非選考団体が高い.結果,合計260点満点中,選考団体が197.65点,非選考団体が183.68 点と約14点の差であったことが分かる*4
新たな団体への指定により,「行政内外の組織の連携・ネットワーク化,政策・施策・事業の意味のある統合・関係づけ」*5の変化も見られるのだろうか.指定管理者の移行後,実際に訪れてみたい.

*1:札幌市HP(教育・文化・スポーツ文化・芸術札幌市文化部所管施設の管理運営について(指定管理者制度など)文化芸術施設・文化財施設の指定管理者札幌市時計台)「札幌市時計台の指定管理者選定結果について

*2:前掲注1・札幌市(札幌市時計台の指定管理者選定結果について)1頁

*3:前掲注1・札幌市(札幌市時計台の指定管理者選定結果について)1頁

*4:前掲注1・札幌市(札幌市時計台の指定管理者選定結果について)2頁

*5:大杉覚「アウトソーシング自治体の責任―求められる自治体経営のインテグリティ」『都市問題』Vol.104,2013年11月,60頁