東京都は2014年度の職員採用試験の日程を短縮する。これまで大卒程度の区分で8月だった合格発表は大幅に早め、7月上旬の夏休み前にする。内定時期が早まる傾向にある民間企業との併願者らを引きつける。団塊の世代の大量退職を補いつつ、20年五輪の準備などもにらんで優秀な人材を確保する狙いだ。
 都の区分で大学院卒程度(I類A)と大卒程度(I類B)について、従来は2次と3次に分けていた面接試験を2次のみに統合。面接の回数は2回のまま減らさないが、間を空けずに実施して受験者の負担を減らす。最も採用数の多い「I類B」の場合、13年度に8月2日だった最終合格発表を14年度は7月11日にする。都道府県や政令指定都市のなかでは最も早くなるとみられ、複数の自治体を受験する学生も囲い込みやすくなると期待している。
 このほか公務員としての知識を問う専門試験と論文を課さない新しい方式を土木・建築分野の技術職員向けに導入。特別に公務員試験の準備をしていないような人にも門戸を開く。将来想定される首都直下地震に備える防災対策、五輪開催のためのインフラ整備などを見込んで、多様な人材を採用したい考えだ。
 都は近年、採用者数を増やしている。「I類B」では2000年前後には100人ほどまで減らしていたが、12年度は800人とバブル期と比べても倍近い職員を採用した。

本記事では,東京都における職員採用試験の取組を紹介.同取組の概要は,同都HPを参照*1
「大学院修了程度」の「1類A」と「大学卒業程度」の「1類B」の「一般方式」の二つの採用試験では,「採用試験の第2次試験と第3次試験を統合」し,「従来より最終合格を約1か月早め」に「1類A」では2013年度の「8月23日(金曜)」から2014年度は「7月25日(金曜)」,「1類B」の「一般方式」では「8月2日(金曜)」から「7月11日(金曜)」へと「合格発表」*2日を改める方針.
「都を志望する学生の皆さんが,就職活動だけでなく,卒業研究など充実した学生生活を送ってほしい」との思い」*3に基づく同取組.「独自の日程」*4で採用試験を行う東京都が,2009年5月17日付同年7月26日付同年11月24日付2010年3月24日付2011年1月31日付の各本備忘録でも記録した試験日程の「早期化」*5ならぬ合格発表の「早期化」により,結果的に,試験期間の短期化となる模様.本記事で紹介されているように合格者を「囲い込みやすくなる」なるのか,そして,同取組の上記目的でも紹介されている目的の通り「卒業研究など充実した学生生活を送」ることにもなるか,来年度の採用試験後の取組は,要観察.

*1:東京都HP(これまでの報道発表2014年1月)「東京都職員採用試験が変わります!―1類A・B採用試験の合格発表を大幅に早めます―

*2:前掲注1・東京都(東京都職員採用試験が変わります!―1類A・B採用試験の合格発表を大幅に早めます―)

*3:前掲注1・東京都(東京都職員採用試験が変わります!―1類A・B採用試験の合格発表を大幅に早めます―)

*4:出雲明子「第8章 地方公務員制度と人事管理」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)161頁

地方自治論入門

地方自治論入門

*5:福島貴希「都市自治体における職員採用」村松岐夫・稲継裕昭・財団法人日本都市センター編著『分権改革は都市行政機構を変えたか』(第一法規,2009年)155頁

分権改革は都市行政機構を変えたか

分権改革は都市行政機構を変えたか