横浜市立図書館の蔵書約四百万冊のうち、年間約一万九千冊が持ち去りなどで不明になっているとして、市監査委員は十六日、対策を求める意見をつけた監査報告を林文子市長に提出した。
 不明除籍は、その書籍などが不明になってから三年以上たった場合に行う。貸し出し手続きを経ず、無断で持ち出されたケースがほとんどで、事実上盗まれた形だという。監査結果によると、市内十八図書館では二〇〇九〜一三年度の五年間で、計約九万五千冊を「不明除籍図書」として除籍。蔵書数に対する比率は0・5%で、市中央図書館によると「全国的にも0・4〜0・5%でほぼ同水準」という。ただ今回、個別監査の対象になった鶴見図書館が1・1%(千百二十一冊)と高いなど、ばらつきもある。監査委員は「貸し出しカウンターを通らずに出入りができるなど、構造上の問題が考えられる」と指摘。監査意見で、ICタグで管理している自治体の例を引きながら「効果的な手法の検討が求められる」とした。市中央図書館の担当者は「職員の巡回や利用者のマナー向上を呼び掛けるのが基本だが、ICタグ導入も検討課題」としている。不明除籍になるのは、旅行ガイドや小説、新書といった本が多いという。 (原昌志)

本記事では,横浜市における定期監査の結果を紹介.
本記事では,2014年度の第1回定期監査のうち図書館管理の状況を紹介.同監査報告によると,同市図書館の「不明図書のうち」,「所在不明を把握してから3年以上経過」した後「図書館情報システムから除籍」した図書は,2009年から2013年までの間で95,120冊あり,年間では19,024冊*1であった,という.同監査報告では,これらの「図書が所在不明」となった「主な理由の一つ」には「利用者による無断持ち出しが考えられる」との見解が示されている.
「住民等による図書館利用に大きな支障が生ずる」不明除却図書化に対する,「図書館利用者の利用機会を奪わないという観点」*2を維持しながらの予防対策の具体化は,要観察.