東京都は29日、六本木―渋谷間で2013年12月から始めた終夜バスの試験運行を10月末で終えると発表した。関連するダイヤ改正を同日、国に届け出た。利用者が1便平均10人以下と採算ラインには遠く、今後も需要の拡大は望めないと判断した。猪瀬直樹前知事が「都市の24時間化」を提唱して発案した施策だったが、一年もたたずに打ち切りとなった。
 終夜バスは毎週金曜深夜から土曜早朝にかけて六本木と渋谷の間を4往復している。片道15分ほどで運賃は420円。開始当初の12月を除くと、乗客は1日平均75人程度と、採算ラインの3分の1ほどにとどまる。この9月までで計約300万円の赤字になっているもようだ。客足は夏休み期間も伸びず、9月に入っても回復の兆しがなかったという。1年間は試験運行を続ける予定だったが、「存続は難しい」と早期の打ち切りに至った。
 都バスの24時間運行は13年4月に当時の猪瀬知事が出張先のニューヨークで表明した肝煎りのプロジェクト。六本木―渋谷間は第1弾の試行路線との位置づけだった。しかしスタートと前後して猪瀬氏が資金問題で辞任に追い込まれ、後任の舛添要一知事は「これ以上の無駄はない」などと厳しく批判していた。

本記事では,東京都における都営バスの取組を紹介.
2013年「12月20日(金曜)深夜」から,「金曜日深夜」の「週1回」,「渋谷駅〜六本木駅」を「1時10分」から「1時40分」,「2時20分」から「2時50分」,「3時30分」から「4時00分」,「4時40分」から「5時10分」に「4往復」してきた「試験運行」*1の取組.2014年「9月29日(月曜)」に「国への届け出」,同年「10月31日(金曜)深夜」が「最終運行日」となり,同試験運行は「終了」*2となる.
同日付の朝日新聞では,「当初は1日平均240人の採算ラインを上回る290人が利用」はしたものの,「翌月から1日平均60〜100人台」,「夏休みで需要増が期待された7月」には「67人」「8月」は「73人」となり,「試験運行の累積赤字は8月末で「約270万円」*3であったと報道.加えて,本記事によると「採算ラインの3分の1ほど」であった,という.
「政策転換のうち,政策終了は最も難しい政策転換」*4とされるなか,以上の実績を踏まえて,当初「1年間」の試行運転の予定から「早期」での終了との判断.制度検討当初に推計された利用需要はどの程度であったのだろうか.要確認.

*1:東京都HP(これまでの報道発表2013年11月)「渋谷駅〜六本木駅間で終夜バスの試験運行を開始します

*2:東京都HP(これまでの報道発表2014年9月)「終夜バスの試験運行終了について

*3:朝日新聞(2014年9月29日付)「24時間都バス、10月末で終了 前知事肝いりの施策

*4:三田妃路佳「政策転換論」大山耕輔監修『公共政策の歴史と理論』(ミネルヴァ書房,2013年)268頁

公共政策の歴史と理論

公共政策の歴史と理論