危険ドラッグなど幻覚や陶酔作用を及ぼす恐れのある薬物を「危険薬物」として全面規制する条例改正案が9日、鳥取県議会の福祉生活病院常任委員会で可決された。14日の本会議でも可決、成立する見通し。県によると、成分特定なしに所持や製造も含めて規制対象とするのは全国で例がない。11月中旬にも施行する。
 改正案は正当な理由なく所持、使用、製造、販売することを禁止し、違反者には警告や中止命令を出し、従わない場合に懲役や罰金が科される。

本記事では,鳥取県における「鳥取県薬物の濫用の防止に関する条例」の改正案の審議状況を紹介.
2014年の9月定例県議会に知事提案として提出された同条例案*1.同条例の改正案では,「危険ドラッグの使用による事故が全国で多発していることに鑑み」「危険ドラッグの販売,使用等の規制を強化」を目的に,以下の事項を改正案として提出されている*2
まずは,「麻薬.覚醒剤等と同等に,興奮,幻覚,陶酔等の作用を人の精神に及ぼし,人の健康に被害が生ずるおそれがある物」であり,「酒類,たばこ」「医薬品を除」き「人が摂取」たは「吸入するおそれがあるもの」を「危険薬物」とし,「危険薬物の製造,販売,使用,所持等の行為を原則禁止」*3する.次いで,「知事」は「危険薬物」として,「 人の精神に及ぼす興奮,幻覚,陶酔その他これらに類する作用が麻薬,覚醒剤等と同等であると特定されている物」,「麻薬,覚醒剤等と同等に,興奮,幻覚,陶酔その他これらに類する作用を人の精神に及ぼすことが確認されている物」の「いずれかに該当すると認めるとき」は「薬物の専門家の意見を聴いて」「知事指定薬物に指定することができる」*4とされる.三つめは,「知事」は「名称,形状,表示内容,販売方法その他の情報」から「知事指定薬物の指定を検討する物を知事指定候補薬物に指定することができる」こととされている.方や「知事指定候補薬物の製造,販売等をする者」には「人の健康に被害が生じないことを証明するに足りる書類を提出」することにより「知事指定候補薬物の指定の解除を申し立てることができる」*5ともされている.四つめは,「知事指定候補薬物の販売,購入等をしたとき」は「知事に届け出る」*6ことが求められる.最後に,「県民」は「薬物の取引に関する情報を警察官などに提供すること等」で「薬物の濫用の防止に県民全体で取り組む」*7こととされている.
2014年10月7日付の本備忘録では,兵庫県による店舗規制の取組を記録.鳥取県では,本記事でも紹介されているように,包括規制となる.「自治体による行政課題の「発掘」」*8されるなかでので,他自治体,そして,国の「政策競争」*9の動向は,要観察.

*1:鳥取県HP(県の組織と仕事総務部財政課県議会関係提出議案平成26年9月定例県議会)「議案第7号 鳥取県薬物の濫用の防止に関する条例の一部改正について

*2:鳥取県HP(県の組織と仕事総務部財政課県議会関係提出議案平成26年9月定例県議会)「平成26年9月定例県議会付議案議」2頁

*3:前掲注2・鳥取県([平成26年9月定例県議会付議案議)2頁

*4:前掲注2・鳥取県([平成26年9月定例県議会付議案議)2頁

*5:前掲注2・鳥取県([平成26年9月定例県議会付議案議)2頁

*6:前掲注2・鳥取県([平成26年9月定例県議会付議案議)2頁

*7:前掲注2・鳥取県([平成26年9月定例県議会付議案議)2頁

*8:吉田利宏, 塩浜克也『法実務からみた行政法 エッセイで解説する国法・自治体法』(日本評論社,2014年)117頁

*9:前掲注8・吉田利宏, 塩浜克也2014年:116頁