神戸市は27日、出先機関として設置している東京事務所を、4月から兵庫県の東京事務所に移すと発表した。2016年の主要国首脳会議(サミット)や19年のラグビーワールドカップの誘致活動、首都圏での情報発信などに県市一体で取り組み、業務の効率化を図る。同様の試みは大阪府・市に次ぎ、政令指定都市では2例目。
 現在、同市の事務所は「全国都市会館」、県の事務所は「都道府県会館」に入っている。ともに東京都千代田区にあり、距離は数十メートルしか離れていない。サミット誘致や地方創生、観光客の呼び込みなど都市間競争の激しい課題が増える中、日常的な連携を強化しようと“同居”の検討を進めていた。
 会見した久元喜造市長は「二重行政をなくしていくことも重要」と強調。今後は、国の制度変更などに関する説明会には県、市のどちらかの職員が出席して情報共有する方針を示した。市の東京事務所は職員数を5人から3人に減らす。
 また、米シアトル市にある県、市の事務所も連携を強化する。昨年12月、県側が市と同じビルに移転。4月からは市の事務所を廃止し、県事務所に市職員1人を派遣する形に変える。シアトル市を含む西海岸にはITや航空・宇宙、先端医療分野の産業が集積しており、経済交流に力を入れる。(田中陽一)

本記事では,神戸市における東京事務所の移転方針を紹介.
現在,千代田区の「全国都市会館」*1に置かれている同市の東京事務所.同事務所では「東京を中心とする首都圏での神戸市政情報の発信」「観光PRなどのシティ・プロモーション」とともに,「国会・各省庁その他関係機関からの情報収集など」*2の「情報入手活動」*3を実施.
本記事でも紹介されている通り,2015年4月からは,「首都圏における情報発信等のワンストップ化やネットワークの構築,拡大を図る」*4目的から,「都道府県会館*5内にある,「兵庫県の東京事務所」に,同市の「東京事務所を移転」し,「兵庫県東京事務所と併設する」*6.同県の東京事務所では,「県と中央省庁,関係機関などとの連絡調整,情報収集,情報発信」と「兵庫の観光.物産等の案内」*7を実施しており,「連携強化を図る体制」の「整備」*8が窺えそう.
「同心円的」*9に連なる市と県の,区域外での空間的な重なり合いによる機能的な重なる様子は,要観察.

*1:神戸市HP(総合メニュー市政情報施設情報)「東京事務所

*2:前掲注1・神戸市(東京事務所)

*3:大谷基道「都道府県東京事務所の研究−東京事務所不要論と国・都道府県の関係−」『年報行政研究44 変貌する行政』(ぎょうせい,2009年)174頁

変貌する行政―公共サービス・公務員・行政文書 (年報行政研究)

変貌する行政―公共サービス・公務員・行政文書 (年報行政研究)

*4:前掲注1・神戸市(東京事務所)

*5:兵庫県HP(組織情報一覧地方機関・施設一覧)「東京事務所

*6:神戸市HP(総合メニュー市政情報記者発表資料2015年1月)「県市協調による東京・シアトル事務所機能の連携強化

*7:前掲注5・兵庫県(東京事務所)

*8:前掲注6・神戸市(県市協調による東京・シアトル事務所機能の連携強化)

*9:宇野重規「ローカル・ガバナンスを問い直す」宇野重規, 五百旗頭薫編『ローカルからの再出発 日本と福井のガバナンス』(有斐閣,2015年)32頁

ローカルからの再出発--日本と福井のガバナンス

ローカルからの再出発--日本と福井のガバナンス