2020年の東京五輪に向けて、飲食店などの屋内施設に禁煙や分煙を義務付ける条例の制定を検討していた東京都の舛添要一知事は22日の定例記者会見で、都独自の条例制定を見送る意向を示した。「国全体で検討して法律で決めないと各地域ばらばらになる」との理由で、今後、国に働きかけるという。
 五輪開催都市で罰則付きの法令を定める「禁煙五輪」の流れが定着するなか、政府の特別機関の日本学術会議が条例制定を提言したことへの見解を問われて答えた。舛添知事は「県や都との境で吸ったらどうなるのか」と語った。条例化を巡っては、舛添知事が昨年夏にテレビ番組で「ぜひやりたい」と発言し、有識者の検討会を設置。だが、都議会最大会派の自民党から「条例によらず、自主的な取り組みを」と要望されると、舛添知事は「ただちに条例化は困難」と方針を後退させていた。

本記事では,東京都における受動喫煙防止対策の方針を紹介.
2014年8月18日付及び同年10月31日付の各本備忘録にて記録した,同都における同対策.同年10月31日付の本備忘録でも記録した同都が設置した「受動喫煙防止対策検討会」*1では,2015年3月30日までには「最終的な締めということにならなかった」ことを受けて「今後もう少し検討しよう」*2という方針が示されている.
2015年5月22日に開催された同都知事定例記者会見では,日本学術会議から同年5月20日付で『東京都受動喫煙防止条例の制定を求める緊急提言』が提示され,同提言では「東京都は速やかに公共の場での受動喫煙を防止するための法整備(条例化)を行うよう」*3提言されたことへ質問される.同質問に対して,同都知事からは,「極端に言ったら東京都との境,そこでたばこ吸ったらどうなのでしょうかというような話になりかねない」ことからも,「国全体でやるべきであって,条例というより法律です,やるならば」*4との方針が提示.
都(県)境問題に関しては,「実体的な規制的内容を盛り込んだ」*5内容とした共通条例の制定も考えられなくはないものの,「喫煙場所を包括的に制限する法律」の「制定」*6を求めることとなる同都.今後の「国との協議」*7の過程は,要観察.

*1:東京都HP(各局のページ福祉保健局とうきょう健康ステーション喫煙)「東京都受動喫煙防止対策検討会

*2:東京都HP(知事の部屋舛添知事記者会見)「舛添知事定例記者会見 平成27年3月31日(火曜)14時00分〜14時30分

*3:日本学術会議HP(提言・報告等提言)『東京都受動喫煙防止条例の制定を求める緊急提言』(平成27年(2015年)5月20日 日本学術会議 健康・生活科学委員会・歯学委員会合同 脱タバコ社会の実現分科会)3頁

*4:東京都HP(知事の部屋舛添知事記者会見)「舛添知事定例記者会見 平成27年5月22日(金曜)14時00分〜14時29分

*5:田村泰俊, 千葉実, 吉田勉編著『自治政策法務』(八千代出版,2009年)286頁

自治体政策法務

自治体政策法務

*6:田中謙『タバコ規制をめぐる法と政策』(日本評論社,2014年)302頁

タバコ規制をめぐる法と政策

タバコ規制をめぐる法と政策

*7:前掲注4・東京都(舛添知事定例記者会見 平成27年5月22日(金曜)14時00分〜14時29分)