子供の貧困の実態を把握するため、東京都足立区は7月、区立小学校69校のうち数校の小学1年生の家庭を対象に、保護者の年収や学歴、子供の生活環境を尋ねるアンケート調査を実施する。
 効果的な貧困対策の材料とするのが目的で、10月にも残る全小学校を対象にする予定。区によると、子供の貧困に関する調査で、これほど大規模に家庭へのアンケートを実施した例はないという。区では「無記名とはいえ、プライバシー保護を心配する区民がいるかもしれない。調査の目的をぜひ理解してもらいたい」と呼び掛けている。
 厚生労働省の調査では、2012年の全国の子供の貧困率は過去最悪の16・3%で、ほぼ6人に1人の割合だ。足立区では、小中学校の給食費などの就学援助を利用する世帯が13年度は37%と、全国平均の約2倍。13年の18歳未満の生活保護受給者数は00年の約1・5倍となり、貧困の広がりが懸念されている。
 そこで区は7月に、区立全69校のうち数校で、小学1年生の家庭を対象にした調査を試験的に実施。10月に残りの学校で行い、最終的に小学校1年生のいる約5400世帯全てで調査する考えだ。

 子供の貧困の実態を把握するための調査を行う足立区の近藤弥生区長は、17日の定例記者会見で、懸念される個人情報の取り扱いについて、「個人情報の保管は二重三重にロックする。名前や学校名などの情報は一切表に出ることはない」と語った。その上で、「厳しい家庭が多いからこそ、区として精いっぱい応援したい。多くの方に協力してほしい」と調査への理解を求めた。
 区は、有効な貧困対策を探る材料にするため、区立小学校全69校の1年生約5400人の家庭を対象に、保護者の年収や学歴、子供の生活環境を尋ねるアンケート調査を行う方針。7月に数校で試験的に実施し、10月に残る学校で調査する予定だ。国立成育医療研究センターが結果を分析する。
 近藤区長によると、調査は無記名で、児童名などは配布する封筒のあて名に書くだけだという。保護者が記入後の調査票は学校がセンターに送り、センターによる分析結果は区がUSBに保存する。データはインターネットに接続されていないパソコンで扱うという。
 近藤区長はまた、調査結果は、貧困と子供の生活習慣の関連を明らかにする目的以外では使用しないと明言。万が一、別の目的で使う必要が出た場合には、議会などに諮る方針も示した。
 質問項目については、区が設置した有識者会議「子どもの貧困対策検討会議」のメンバーに相談しながら検討しているとし、「集計に必要な最低限の内容にする」とした。
 来年以降は今年の結果を受けて判断するが、「成長段階に応じて変化を追うことも重要。1回終わったからそれでいいとは考えていない」と述べ、経年調査に意欲をにじませた。

両記事では,足立区における「子どもの貧困」に関する調査の実施方針を紹介.
同区では,「「子どもの貧困対策」への各担当部署の意識を高め」「各施策を体系化して全庁的体制で取り組んでいく」*1ことを目的に.「政策経営部」内に「子どもの貧困対策担当部」*2を設置.同区が進める「切れ目のない支援で子どもの貧困対策」*3の一環として,同区の「子どもたちの貧困はどこまで深刻か」「その原因は何か」などの「課題への効果的な処方を行う」には「現在の子どもたちの実態把握が欠かせ」ないとして,同区は「独立行政法人国立成育医療研究センター」との「共同」により「小学校1年生」を対象に「子どもの健康・生活実態調査」*4を実施.調査項目は,「食費,就学前の養育費,所得など」「むし歯,就寝・起床時間,朝食摂取鵜習慣など」「近所との交流方法,頼れる人の数など」*5が想定されている模様.子どもの貧困を「引き起こすさまざまな経路」*6の把握として,同調査の実施結果は,要確認.

*1:足立区HP(区のデータ・資料はい、区長です。区長記者会見)「平成27年度 当初予算案発表」(平成27年1月30日(金) 午後2時00分~ 足立区役所 南館8階 特別応接室)5頁

*2:足立区HP(区のデータ・資料区政運営組織案内)「平成27年度足立区組織機構図(平成27年6月15日現在)

*3:前掲注1・足立区(平成27年度 当初予算案発表)1頁

*4:前掲注1・足立区(平成27年度 当初予算案発表)7頁

*5:前掲注1・足立区(平成27年度 当初予算案発表)7頁

*6:阿部彩『子どもの貧困Ⅱ 解決策を考える』(岩波書店,2014年)66頁

子どもの貧困II――解決策を考える (岩波新書)

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