県が11、12日開いた本年度の「県民協働による事業改善」で、傍聴者数やインターネット上での生中継のアクセス数が、前年度と比べて半減した。「(県政への)県民参加、情報公開の第一歩」として2010年度に始まった事業改善の前身「信州型事業仕分け」からの減少傾向が止まらない。今回傍聴した県民からも話し合いの内容が分かりづらいとの意見が出ており、県民の関心を引き付ける工夫とともに一段の対策が必要だ。
 11日は夜に県庁(長野市)で、12日は県佐久合同庁舎(佐久市)で終日開催。2日間の傍聴者数は計159人で前年度比46・1%減。ネットの生中継のアクセス数は延べ354件で同比52・0%減だった。11年1月に初めて開いた信州型事業仕分けの傍聴者数は416人、ネット中継のアクセス数は4249件に上った。12年度からは判定方法などを変えた「事業改善」として実施。昨年度から県職員に研修として傍聴するよう呼び掛けたため一時的に傍聴者数が伸びたが、減少傾向に歯止めはかかっていない=グラフ。
 本年度点検対象とした15事業は全て、「強化・拡大の方向で改善が必要」か「現行通り」の判定が最多だった。「不要」や「要改善」判定が相次いだ事業仕分けとは様変わりしたが、点検者と県職員との間では緊迫したやりとりは所々に見られた。「いかにも行政的だ」。林務部の高性能の林業機械の購入に補助金を出す事業の点検(12日)で、有識者として点検に加わった一人が語気を強めた。小規模事業者向けのレンタルをしてみては―と提案したが、県側が「要望はまだ挙がっていないので今後要望をくみ取る」と答えたためだ。有識者は「『提案型』で事業を進めることも考える必要がある」とただした。
 婚活セミナーなどを開く県事業の点検(11日)では「行政が金を出すのに値するのか。人口減少対策なら(この事業に使う)金を雇用対策や企業誘致に使うべきでは」と迫る有識者もいた。医師確保対策の一部の事業を点検した議論(12日)では、「対象の事業だけを点検しても(医師確保対策の)全体の事業バランスでの必要性が分かりにくい」といった指摘も複数出された。12日、佐久合同庁舎で初めて事業改善を傍聴した無職中村浩三さん(43)=小諸市=は「傍聴を通じて県政を身近に感じた。県が広報や周知の方法をもっと工夫すれば来場者は増えるのではないか」。「県政モニター」の登録者で、点検に参加した会社員男性(51)=長野市=は「県の説明に専門用語が多く、話が理解しづらかった」と指摘した。
 事業改善の事務局を担う県行政改革課の井出英治課長は今後の実施へ向け「いただいた意見を参考に工夫したい」と述べた。

本記事では,長野県における事業改善の取組を紹介.
2011年度に「信州型事業仕分け実施事業」*1を開始した同県.翌年2012年度からは名称を現在の「県民協働による事業改善」*2と改め,「計画の実行手段である県の事業の成果等」を「県民」と「一緒に点検を行い」「より良い事業へ改善をしていく」ことを目的に「開催」*3している.2015年度は,「6分野」「15事業」*4を対象に実施.本記事では,「傍聴者数」「インターネット上での生中継のアクセス数」の結果を紹介.
「劇場型」*5から,「観点の多様性を確保するための評価」*6を実施し続けているとも整理ができそうな同取組.次年度以降の実施状況は,要観察.