政府のまち・ひと・しごと創生本部は自治体に寄付をした企業の税負担を軽くする「企業版ふるさと納税」の創設を巡り、東京23区や財政力の高い都市部の自治体を寄付先の対象から外すことを盛り込んだ制度案をまとめた。財政力が弱い地方の自治体に企業の寄付が向かいやすくする。2016年度の税制改正大綱への反映を目指し、12日の自民党部会で示す。
 制度案では、企業の自治体への寄付を促すため税の優遇措置をつくる一方、地方創生に結びつきやすくするため優遇を受けられる寄付先の自治体には制限をかける。東京都・23区のほか、大都市圏で地方交付税を受け取っていない自治体は財政力が高いとみなして優遇の対象外にする。都と23区以外では約20の自治体が当てはまるもようだ。
 優遇を受けられる対象自治体であっても、地域活性化に高い効果が見込めると政府が認めた事業に取り組む必要がある。優遇措置としては、寄付をした際の減税効果を現行の2倍に高める。今は企業は自治体に寄付をすると寄付金の約3割分の法人税の負担がなくなる。新制度ではさらに寄付金の3割を法人住民税と法人税から税額控除できるようにする。税額控除は法人住民税を優先し、法人住民税の2割を超える部分を法人税から控除する。
 企業版ふるさと納税は6月に菅義偉官房長官が導入の考えを表明した。企業の寄付に上限額を設けるかどうか、自治体による行き過ぎた寄付の呼び込みに対する防止策なども今後議論するとみられる。

本記事では,政府におけるの企業版のふるさと納税制度の検討状況を紹介.
2015年6月30日及び同年9月17日付の両本備忘録でも記録した「企業版ふるさと納税」の検討方針と東京都側の反応.本記事によると,検討された同制度案は,「寄付金の3割を法人住民税と法人税から税額控除」すること,そして,「東京都・23区のほか,大都市圏で地方交付税を受け取っていない自治体は財政力が高いとみなして優遇の対象外」とする方針が紹介.「東京だけが」「基準外」*1となる模様.今後の詳細設計の過程は,要観察.

*1:池田利道『23区格差』(中央公論新社,2015年)31頁

23区格差 (中公新書ラクレ 542)

23区格差 (中公新書ラクレ 542)