沖縄県は1日、米軍普天間基地宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、国を相手に新たな訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。総務省の「国地方係争処理委員会」が昨年12月に県の申し出を却下したことを不服として訴える。第1回口頭弁論は15日に開かれる予定。国と県が辺野古移設で争う訴訟は今回で3件目で、双方が訴え合う異例の事態が続いている。
 翁長雄志知事は昨年10月に辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消す一方、石井啓一国土交通相が取り消しの効力を停止した。県はこれを受けて、国と自治体のトラブルを調停する係争処理委に審査を申し出たが、同委員会は昨年12月に審査対象に当たらないと却下した。県は地方自治法に基づき、この結果を不服として訴えた。この規定により自治体が訴訟を起こすのは初めて。
 県はすでに移設工事の差し止めを求めて那覇地裁に訴え、国も知事に代わって承認取り消しを撤回するための「代執行訴訟」を福岡高裁那覇支部に起こしている。菅義偉官房長官は1日の記者会見で、裁判が相次ぐことについて「極めて残念だ」と述べた。

本記事では,沖縄県における国地方係争処理委員会による審査後の取組を紹介.
同県からの申出に対して,2015年12月24日付で同委員会では「申出は不適法であって却下すべきものと判断」*1が提示.同委員会の審査の結果に「不服がある場合,自治体は高等裁判所に提訴することができる」*2ことを受けて,本記事によると,同県では訴訟を提起したことを紹介.「国による「固有の資格」」*3とされた執行停止決定に関する高裁への訴えの結果は,要観察.

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧2016年1月国地方係争処理委員会に対する審査の申出に係る決定と通知 報道資料平成28年1月4日)「沖縄防衛局長が申し立てた執行停止申立てにつき平成27年10月27日付けで国土交通大臣がした執行停止決定に係る審査の申出について(通知)」(国地委第19号 平成27年12月28日)2頁

*2:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『第3版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2014年)39頁

ホーンブック 地方自治[第3版]

ホーンブック 地方自治[第3版]

*3:前掲注1・総務省(沖縄防衛局長が申し立てた執行停止申立てにつき平成27年10月27日付けで国土交通大臣がした執行停止決定に係る審査の申出について(通知)5頁