善通寺市議会は1日、臨時議会を開会し、県内水道事業の広域化を目指す「県広域水道事業体設立準備協議会」に同市が参加する議案を賛成多数で可決した。これで、岡山県側から水道用水の供給を受ける直島町を除き、県内全ての市町が参加する見通しとなった。今後、2017年度に企業団を設立し、18年4月に事業を開始する予定。県内自治体の水道事業が一元化されれば全国初となる。
 善通寺市の平岡政典市長は市議会の可決を受けて同日、県へ同協議会へ加入する意向を伝えた。平岡市長は「協議会に加入してさまざまな角度から議論することで安定的に水道水を供給できる」と説明した。残る坂出市も今後、3月議会に議案を提出し、参加を決める予定だ。
 県内の浄水場や水道管は1960〜80年代ごろに集中的に整備された。大量に更新時期を迎えてきているが、給水収益が減少する中で、施設の更新整備は進んでいない。今後も水需要の減少に伴い、給水収益の減少傾向が続くと予想される。
 人口減少や施設更新費増大などに対応するため、県と市町は水道事業の広域化に向けて協議会を昨年4月に発足。新設する企業団が各自治体の事業や資産を引き継いで水源を一元管理し、浄水場などを再編する一方で、企業団設立から10年後の28年度以降は料金を統一する方針だ。また施設更新費は給水収益の他、国の補助金、参加市町の一般会計繰出金を充てる。
 しかし、坂出市善通寺市は、「市単独経営の方が水道料金が安くなる」「事業団への負担金が大きい」などとして参加を見合わせていた。
 転機は昨年11月。同協議会は、料金が統一されるまでの期間、各自治体に一律に負担を求めていた繰出金について、ルールを柔軟化するなど財政運営の基本方針を見直す一方、浄水場や水道管の更新時期を長く設定し直し、参加自治体の負担を軽減することにした。その後、両市が方針を転換した。
 1日の定例記者会見で浜田恵造知事は「善通寺市議会の議決により、全県域での水道広域化を推進する条件がそろった」と歓迎の姿勢を示した上で、「人口減少、設備更新、技術継承といった問題を克服し、持続可能なものとしていくためには広域化は必要だ」と強調した。【深尾昭寛、山中尚登、道下寛子】

本記事では,善通寺市における広域水道事業の取組を紹介.
同市が位置する香川県では,2014年6月に「広域水道事業及びその事業体に関する基本的事項のとりまとめ」*1を策定.2015年「道事業の事業統合,経営統合または業務の共同化」*2に関して検討を進める「香川県広域水道事業体検討協議会」*3を設置し,「広域水道事業体の設立準備」*4を進めている.本記事では,同協議会に未参加であった同市の参加の「議案」が「可決」されたことを紹介.「市町村を超えた行政間連携」*5の実現にむけた協議状況は,要観察.