静岡県は本年度、歴史を後世に伝える資料として価値がある「歴史的文書」の公開機能を充実させる。来年3月末までに公開文書数を現在の2075冊から約1・7倍の3500冊まで増やし、文書件名の検索機能も県のホームページに整備する。公文書の選別や保存・管理体制も強化し、県民の共有財産としての利活用を促す。2016年度当初予算に関連経費5700万円を計上した。
 歴史的文書とは県などが業務遂行上、作成したり、取得したりした書面や行政刊行物のうち、地域の歴史や県政の歩みを伝え、資料的価値が高いと選別された文書を指す。静岡県は戦災で焼失した文書も多いとされるが、古い物で1875年度(明治8年度)の歴史的文書が残る。県は2009年度から事前申し出制の公開・閲覧制度を導入したものの、閲覧者は郷土史研究家や学生など年間十数人にとどまっている。
 県は県民に歴史的文書の存在を知ってもらい、活用しやすくするため、今年4月に閲覧場所を従来の静岡中央ビル(静岡市葵区)内の閲覧室から、より利便性が高い県庁東館2階の県民サービスセンターへと移設した。文書の保存環境も整備し、文書を保管する県有施設「田町文庫」(同区田町)に空調設備を本年度中に導入する。歴史的文書自体の選別体制も強化し、新たな選別マニュアルの作成や「選別審査会」の設置に取り掛かる。国立公文書館関係者など庁外の識者のチェックが入る仕組みも検討する。県法務文書課の担当者は「歴史的文書を幅広く活用できる環境を整え、県民の生涯学習や知る権利に応えていきたい」と話している。

本記事では,静岡県における「歴史資料として価値のある公文書」の閲覧の取組を紹介.
同県では,「行政上の観点からだけでなく」「歴史を後世に伝える資料としても重要な価値を持つ文書」である「2,075冊,27,222件」のうち,「個人の秘密保護等の理由から閲覧等の制限をしているもの」を除く「343冊,2,289件」*1が閲覧が可能とされている.本記事によると2017年3月までに「公開文書数」を「3,500冊」とする予定の模様.「歴史的に重要な公文書」*2としての選別状況は,要確認.

*1:静岡県HP(県政情報行政改革・情報公開)「歴史資料として価値のある公文書の閲覧

*2:瀬畑源『公文書をつかう』(青弓社,2011年)297頁

公文書をつかう: 公文書管理制度と歴史研究

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