陸前高田市は21日の市議会全員協議会で、東日本大震災で全壊した市庁舎再建について、震災の浸水区域内を含む候補地・再建方法を4案示した。安全性や利便性、経済性の比較も提示した。市議会の議論を踏まえ、来年3月に決定する。
 候補地・再建方法は(1)高田町内の高台に用地を取得して新築する(2)仮設庁舎が建つ現地に新築する(3)震災で1階まで浸水した高田小を増改築する(4)同校を解体し跡地に新築する−の各案。(3)(4)の場合、1階部分を支柱のピロティ構造にする。
 敷地面積は旧庁舎の2倍の約1万2000平方メートル、延べ床面積は同水準の約6000平方メートルを基本とした。
 4案の概算事業費は(1)が用地取得や造成などの費用を含め64億円(市の一般財源24億円)で、(2)は仮設庁舎の再建解体費などが生じて63億円(18億円)。(3)は耐震補強などが必要で56億円(17億円)、(4)は54億円(11億円)となる。いずれも2021年度中の完成を見込む。
 (1)と(2)は浸水区域外だが、かさ上げする中心市街地から1.5〜2キロ離れる。(3)と(4)は中心市街地から約600メートルと近い。
 再建場所を巡り、市は13年6月、市民や市職員アンケート結果などを基に「震災の浸水区域外で高台を基本」と方針決定していた。
 高田小を盛り込んだことに、戸羽太市長は「防潮堤やかさ上げ整備で、安全が確保された場所と認識している。高田小より海側には災害公営住宅も建っている」と強調した。

本記事では,陸前高田市における新庁舎の立地案を紹介.
2013年4月26日付同年6月11日付同年6月27日付の各本備忘録でも記録した同市の新庁舎の立地に関する検討.2013年6月26日は,「新しい市役所の位置は」「東日本大震災の浸水区域外で,高台を基本」とするものの「具体的な位置」は「現市役所庁舎の位置を含めて引き続き検討し」「まちづくりの観点や利用者の利便性の確保について」「十分留意して対応し」ながら「適切な位置を選定する」*1と決定された同市の新市役所の立地案.本記事によると,「高田町内の高台に用地を取得して新築する」案,「仮設庁舎が建つ現地に新築する」案,「震災で1階まで浸水した高田小を増改築する」案,「同校を解体し跡地に新築する」案と「震災の浸水区域内を含む候補地・再建方法」の「4案」が提示された模様.「町の再建過程」*2のなかで,同庁舎の立地の決定過程は,要観察.

*1:陸前高田市HP(復興・まちづくり新しい市役所の位置)「新しい市役所の位置の検討結果について」(報道関係資料 建設部都市計画課,平成25年6月26日)

*2:岡本全勝,藤沢烈, 青柳光昌『東日本大震災 復興が日本を変える』(ぎょうせい,2016年)235頁

東日本大震災 復興が日本を変える-行政・企業・NPOの未来のかたち

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