明治期の木造和風の県会議事堂として、全国で唯一現存する旧和歌山県会議事堂(岩出市根来)を重要文化財(建造物)に指定するよう、国の文化審議会馬渕明子会長)が19日、松野博一文部科学相に答申した。指定されれば、県内の重文(建造物)は82件となる。
 県所有の建物で、木造2階建て、建築面積は1239平方メートル。洋風の構造を取り入れながら和風意匠でまとめている。1898(明治31)年に、和歌山城の北東に当たる和歌山市一番丁の現在の和歌山中央郵便局の場所に建設された。県議会のほか、1911(明治44)年には、夏目漱石が「現代日本の開化」を講演するなど、講演会や集会などにも使われ、県の政治や文化の拠点として重要な役割を担った。
 和歌山城の北西の和歌山市西汀丁にあった県庁舎が38年に現在の場所に移り、議場も備わったのに伴い、約40年で議事堂の役目を終えた。
 現在のJA和歌山中央会に売却され、41年に同市のJR和歌山駅前にあるJAビルの場所に移築。62年には岩出市根来寺境内に移った。根来寺では「一乗閣」として、催しや合宿施設として親しまれていたが、老朽化が進んだことなどから、県が保存のため2015年度まで4年かけ、近隣地に復元整備した。

本記事では,和歌山県における旧県会議事堂の重要文化財指定の取組を紹介.
2016年6月9日付の本備忘録では,定例会を開催したことを記録した同県の同「旧県会議事堂」*1.2017年5月19日に開催された,文化庁文化審議会文化財分科会において「重要文化財(建造物)」として「答申」*2されたことを,本記事では紹介.同答申では,「明治時代に和風意匠で建てられた木造の府県会議事堂として現存唯一の遺構である」こと,「外観や細部は伝統的な和風意匠」でありながら「洋式の小屋組により議場の大空間を実現する」ことなどから「地方大工の技術的深化を示すものとして価値が高い」*3との評価が示されている.指定後の「保存と活用」*4状況は,要観察.