総務省は7日、地方自治体の基金に関する調査結果を公表した。2016年度末までの10年間に増加した7兆9000億円のうち、約7割に当たる5兆7000億円は公共施設の老朽化対策や災害対応など将来に備えるためだった。
 基金増加をめぐっては、財務省自治体の財政に余裕があるとして、地方交付税の削減を目指しているが、総務省自治体が必要に迫られて基金に積み立てているとみている。

本記事では、総務省における全国の自治体の基金の積立状況に関する調査結果の公表を紹介。
同省では、2017年11月7日に「地方財政状況調査」に基づく「基金の積立状況等に関する調査結果」*1を公表。同調査によると2006年度末と2016年度末の「基金残高」を対比すると2006年度末は「13兆6,022億円」、2016年度末は「21兆5,461億円」となり、この間で「7兆9,439億円」が「増加」*2。「財政調整基金の積立ての理由」としては、「都道府県」の理由の「第1位」は「景気の動向による法人関係税 等の変動」が最も多く、次いで「災害」、「第2位」では「災害」、「景気の動向による法人関係税等の変動」、「第3位」は「地方交付税額の推計が困難」、「災害」*3の順となる。「市町村」の「第1位」は「公共施設等の老朽化対策等に係る経費の増大」が最も多く次いで「災害」、「第2位」では「社会保障関係経費の増大」、「公共施設等の老朽化対策等に係る経費の増大」、「第3位」は「公共施設等の老朽化対策等に係る経費の増大」、「社会保障関係経費の増大」*4の順となる。
「国の施策に基づき設置された基金の残高」は、「都道府県」は2006年度末の「5,697億円」から「1兆493億円」と「4,796億円の増加」、「市町村」は「711億円」から「1,581億円」と「870億円の増加」*5をしている。これらの「積立ての財源」は「都道府県では」「国費関連分の増に対応」、「税収如何にかかわらず、行革、経費節減等により捻出した額」の順、「市町村では」、「税収如何にかかわらず、行革、経費節減等により捻出した額」、「歳出の不用額」*6の順と「財政運営の効率化」*7により、基金の積立が行われている模様。基金の活用状況は、要観察。

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧:2017年11月)「平成28年度地方財政状況調査における基金の積立状況等に関する調査結果

*2:総務省HP(広報・報道報道資料一覧:2017年11月平成28年度地方財政状況調査における基金の積立状況等に関する調査結果)「基金の積立状況等に関する調査結果」(平成29年11月、総務省自治財政局)5頁

*3:前掲注2・総務省基金の積立状況等に関する調査結果)6頁

*4:前掲注2・総務省基金の積立状況等に関する調査結果)6頁

*5:前掲注2・総務省基金の積立状況等に関する調査結果)10頁

*6:前掲注2・総務省基金の積立状況等に関する調査結果)11頁

*7:沼尾波子・池上岳彦・木村佳弘・高端正幸『地方財政を学ぶ』(有斐閣,2017年)78頁

地方財政を学ぶ (有斐閣ブックス)

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